ユリ科の植物「エンレイソウ」が兵庫県丹波篠山市北西部の神社境内でひっそりと咲いている。絶滅危惧種に指定されてはいないが、市内で見かけることは少ない。
篠山自然の会副代表で、草花に詳しい谷口次男さんは、「市内では2カ所しか自生地を確認していない。種から花を咲かせるまでに10年以上かかる」と話す。
山地のやや湿った場所に生える。高さ30センチほどの茎の先端に丸みを帯びたひし形の大きな葉を3枚付け、さらに葉の中心から短い花柄を伸ばし、紫褐色の花をやや横向きに1つ咲かせる。花には花びらはなく、3枚のがく片からなる。
サポニンなどの成分を含む毒草で、中国では古くから根茎を「延齢草根」と呼んで、胃腸薬や催吐剤などの薬草として用いている。