休校中の子とどう向き合う? 臨床心理士に聞く接し方 「やらねばならない」レベル下げる

2020.04.22
ニュース丹波市

子のためにも保護者がストレスをためないようにと呼びかける羽生さん=兵庫県丹波市市島町酒梨で

新型コロナウイルスの感染拡大と緊急事態宣言発令を受け、臨時休校中の兵庫県丹波市内の小中学校で、登校日が少なくとも24日までなくなった。アフタースクールにも行けず、家で過ごす子どももいる。家にこもりがりな子どもとどう向き合えばいいか、スクールカウンセラーとして市内の小中学校で子どもと保護者の相談を受けている臨床心理士の羽生五月さんに話を聞いた。

―子どもたちがしんどくなったときのサインは、どんなものがあり、どう気付けばよいか。

表情や言葉数、イライラした様子などから気付く。しんどくなる要因は、例えば、受験生が学習に対する不安を感じるとか、または、SNSでしか関われないこの時期に友人との間でトラブルが生じるとかいったこともあるかもしれない。中高生の場合、言葉での表現が可能になる年齢。一方で保護者に話すことは減ってくる。保護者でなくても構わないので、他に信頼できる大人や先輩に頼って良いのだというメッセージを普段から伝えておくことが大切。

―3月から続く休校の影響は。

子どもは割と柔軟で適応力があるため、うまく過ごせている子どもが多い。高学年になると情報を自分で取り入れるので、「コロナウイルスに感染すると必ず死んじゃう」と怖がったりする子も中にはいる。そういう子にはもう少し的確な情報を伝える。子どもよりむしろ保護者の方が、参っている、疲れている感じがある。逃げ場のない保護者がしんどくなる。

―親が不機嫌だと、子が不安になりそうだ。

保護者は働きに出られなかったりして経済的に不安になる面もある。保護者のストレスが増加して子どもに伝わり子どもがしんどくなる場合もある。保護者自身が家にいてほっとでき、ストレスフルにならないようにすることが大切。

―どう考えればいいか。

保護者が「やらねばならない」レベルを下げると良い。宿題をしっかりさせないと、昼ごはんをちゃんと作らないと、散らかすので掃除もしないと、と考えるとしんどくなる。「きっちり宿題ができないとダメと思い過ぎない。少しくらい散らかっていたっていい。お昼ご飯はそれなりで。今日1日子どもの命を守れたし、よしとしよう」ぐらいの気持ちで過ごす。きょうだいげんかをしていても、子ども同士での問題解決を学ぶチャンス、と見守ったらいい。子がゲームばかりしていたら小言も出がちだが、課題などやることを決め、ゲームを1日の生活のどこに入れるのか、子ども自身に考えさせる機会と考える。毎日うまくはいかない。失敗もしながら、学ばせる。

―小学生2人の母親である羽生さんは休校中、お子さんとどう過ごす。

ストレスを抱えないよう、今は「やらねばならないこと」は、あまり求めないようにしようと思っている。その上で、子どもそれぞれの年齢に合わせた関わりを考えている。

上は小学5年生。自分でゲームやYou Tubeなどをする時間をコントロールしながら、課題に取り組む練習をするのを見守り、必要に合わせて手伝う。なるべく毎日30分から1時間、子どもが好きな卓球の相手をしながら会話し、その日の振り返りをしている。説教するより話が入りやすい。

下は小学1年生。小学校への期待と不安でいっぱいで、「小学校ごっこ」をしながら安心したり、抱っこを求めることが増えてきた。小さい子は、遊びの中に不安を出し、解消していくことがある。ほかに、一緒にオムライスを作ったり、ケーキを作ったり。お風呂掃除を覚えたりもしている。

そして、きょうだいで遊ぶ時間が増えた。上の子が、下の子と遊んでくれるのも、あと1年か2年。貴重で大切な時間だと思っている。父親と関われる時間が増えたことも、良かった。

どれも、こういった機会が出来たからこそ、やれたことだと思っている。この機会だからこそ出来ることを大切にして、学校再開に向けて過ごしていきたいと考えている。

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