兵庫県丹波市山南町の常勝寺(宮崎実康住職)の桜が見頃を迎えた。仁王門を覆うかのように幅約300メートル、奥行き約200メートルにわたって植えられたソメイヨシノが一斉に咲き乱れ、まだ冬の名残が漂う山腹に彩りを添えている。
山腹を淡いピンク色に染めるソメイヨシノは、50年以上前に地域住民の協力で参道脇に植栽したもの。同寺によると、日本の元号が慶応から明治に改元された1868年から100周年になるのを記念し、1968年(昭和43)10月に執り行われた政府主催の「明治百年記念式典」にちなみ、県が大量のソメイヨシノの苗木を配布したという。
「満開の時期には、目が覚めるほどの美しさです」と話す近隣住民によると、2日時点で6分咲きという。「今年はつぼみを食べる野鳥の被害も少なかったようで、花つきは抜群です」とにっこり。
同寺の前住職、実順さん(84)は「みなさん、きれいやと言ってくれますが、私は毎年、参道や石段に降り積もる花びらの掃き掃除に追われ大変です」と苦笑いしている。
同寺は、毎年2月11日に営む厄払いの伝統行事「鬼こそ」でも知られる。