新型コロナウイルスの感染拡大と経済への打撃が広がる中、兵庫県丹波篠山市菅にある金照寺の御講の集まり「六條講」がこのほど、会員15人に臨時給付金として一律3万円を支給した。長年、会員が積み立ててきた貯蓄の一部を充当。住民同士がコミュニケーションをとることを目的に、代々続く小さな集まりだが、「世間では収入が減る人もいる中、貯蓄を使うなら『今しかない』と思った。会員のみなさんに少しでも気分を明るくしてもらえれば」と期待する。
月に1度、同寺に集まり、交流を図っている。毎月1人500円ずつ積み立てており、例年は新年会で使ってきた。
こぢんまりした集まりだが、新型コロナウイルスの拡大を受け、感染防止のために集まりは中止になった。
そんな中、仕事が減り、収入が減っている人が増えてきていることを知った会計の大西冨美子さん(73)が、積立金から臨時給付を行うことを発案。会員全員で決めようにも集まれない状況にあり、数人に声をかけたところ反対はなかったため、支給に踏み切った。
国からの一律10万円給付はまだ届かず、大西さんは「自分たちが動かせるお金でスピード感のある支援ができないか、と考えた」と話す。
7日、給付金と趣旨を説明した紙を持って大西さんが会員宅を歩いて回り、屋外で手渡し。受け取った会員らは、「うれしいわぁ」「助かる」などと笑顔を見せた。
中には「コロナの影響で仕事が休みになっている」という人や、学校園の休校で孫を自宅で見ている人もおり、改めて農村部にも影響が出ている状況も感じ取っていた。
大西さんは、「そもそも自分たちで”貯金”していたようなお金」とほほ笑み、「お金の心配は気分も暗くなる。少しでも”ホッと”してもらえたらうれしい」と笑顔で話していた。