兵庫県丹波市の中学生が、自宅玄関先にある信楽焼のタヌキの置物の”体内”に野鳥の「シジュウカラ」が営巣しているのを見つけた。「まさか、こんな所に巣をつくるなんて」と笑いつつ、「無事に巣立って」と祈っている。
「笠」の穴から親鳥出入り 順番待ちも
置物は高さ40センチほどで中は空洞。重い荷物を家の中に運ぶ際、邪魔になる置物を持ち上げたところ、苔と羽毛でつくった鉢状の巣が現れ、中には8羽のひながいた。
石の上に巣をつくっており、タヌキの置物を巣箱の代わりに使っている。置物の後頭部にある「笠」の穴から親鳥が出入りし、せっせと餌を運んでいる。時折、エサを求めるひなの鳴き声が聞こえることもある。
ランニングマシン搬入中に発見
この家に住む中井菜月さん(12)が母の百代さん(46)らが今月2日、新型コロナウイルスの影響を受けた外出自粛による運動不足を解消しようと、ランニングマシンを搬入する際に見つけた。5、6年前に購入した置物は、台風が接近するたびに倒れないよう動かしており、過去に営巣の形跡を見かけたことはなかったという。
「コロナで暗くなりがちな中で」
最初は巣と気付かず、苔の塊としか思わなかった。何か動いているのに気付き、「うわっ。何かおる」と菜月さんが声をあげた。百代さんが見ると、身を寄せ合う鳥のひなだった。
以来、笠の穴からのぞき込んで無事を確かめている。ひなは、毛が生え変わり、体も大きくなり、日に日に「鳥らしい姿に成長している」(百代さん)という。
百代さんは、「コロナで暗くなりがちな中で、心がほっこりしました」と言い、菜月さんは、「親鳥が、笠にとまって周りを観察してから中に入るのがかわいい。元気に巣立ってほしいけれど、いなくなるのは寂しいな」と話していた。