兵庫県丹波市では、5月末まで小中学校の休校延長が決まり、児童の学習をインターネットを利用してどう支えるか模索が続く中、動画投稿サイト「YouTube」を学習支援に利用する取り組みが広がっている。「YouTube」は、発信は学校からの一方通行になるが、使い慣れている子どもが多い。登場するのは身近な教師で、親近感を感じやすく、繰り返し再生でき、好きな時間に見られる。DVDにして渡すことでネットにつながれない家庭にも情報を届けられる。
市内のある小学校は5月1日、算数の自主学習の仕方を投稿した。配布した学習の進め方の説明プリントだけでは伝わりづらいだろうと、「YouTube」で補うことにした。
同校は、各教科の「自主学習の進め方」を教えるのに「YouTube」を使う方針。「計画⇒トライ⇒ふり返り⇒練習」の「けトふれ」サイクルを推奨しており、教材研究担当で、4―6年生の算数担当の教諭が、児童が使う算数ドリルとノートを使って、3分ほどの動画でノートの取り方を細々と紹介した。自身で考えた、A4判用紙2枚分のナレーション原稿を読みながら、「けトふれ」を実演した。
教諭は、「教師は、子どもの反応や表情を見て伝わっているかどうかを探る。顔が見えない中、手探りで動画を作っているが、本当に伝わるのか不安」と打ち明けた。
オンライン学習への期待がにわかに高まっているが、自宅に保護者や兄姉がいないと、低学年の児童はネットへの接続ができない。ネット環境がない家庭への配慮も必要だ。
丹波市教育委員会は、各学校に児童と保護者だけに公開を限定したホームーページの開設を認めた。学校と保護者、児童の情報共有の場に育てる。保護者向けには、従来の電子メールによる一斉送信のほか、新たに学校単位で「LINE」の利用も始め、双方向でやり取りができる手段を増やす。
同小が4月30日に開いた学校運営協議会では、ネット活用のほか、アナログな方法で児童とつながることが重要との指摘があった。同校は親や友だちに言いにくいことなどをくみ取る「なんでもポスト」の設置を決めた。
同小校長は、「補助的な道具として使っていくが、『ネットがあれば、授業ができる』といったところまでは、なかなかいかないだろう。ネットと電話、ファクス、連絡帳などデジタルとアナログを組み合わせ、できることをやっていくしかない」と話している。