生き物「3D」で観察しよう 自宅待機の子たちに学習支援 はく製数百枚を撮影しデータ化

2020.05.18
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「3D観察広場」の閲覧、活用を呼び掛ける市教委文化財課の西岡さん(左)と菊川さん=2020年4月28日午後4時37分、兵庫県丹波市山南町谷川で

新型コロナウイルス感染症対策による臨時休校で自宅待機を余儀なくされている子どもたちの自学自習を支援しようと、兵庫県丹波市教育委員会は同市のホームページで5月から、市教委文化財課の職員2人が企画・制作した新コンテンツ「3D観察広場」の配信を始めた。コンテンツの中身は、▽生きものを全方向から眺められる「3Dモデル」▽市内に生息・生育する動植物写真▽ちーたん生き物貼り絵―の3つ。2人は、「スタートしたばかりでアイテム数は少ないが、逐一更新し、内容の充実を図っていく」としている。

 同市の豊かな自然を教材に、地域の自然環境のすばらしさを知る郷土学習につなげ、動植物とじっくり向き合う観察眼を養うきっかけになればと企画。
 考古学が専門の学芸員で、出土品や発掘現場の3Dモデルの活用を探っている西岡真理(まこと)さんと、教育普及専門員で、上級園芸療法士の資格を持ち、植物への造詣が深い菊川裕幸さんの同課の2人が、互いの特性を活かしてコンテンツ制作に乗り出した。
 生きものの3Dモデルは現在、イノシシ(幼体)とフクロウが閲覧でき、マウスを動かすと画像がぐるぐると動き、全方向から眺めることができる。拡大も可能。
 2人は、「図鑑の場合は、一定方向から撮られた写真から得られる情報しかないが、3Dモデルはあらゆる角度から生きものの体を眺めることができる。イノシシのあごの下はどうなっているのか、しっぽや耳の形は、など興味のある部分を自在に確認することができる」と話す。
 同市の「青垣いきものふれあいの里」に展示されているイノシシ、フクロウのはく製をさまざまな角度から何百枚にわたって撮影し、データを取り込んで3Dモデル化した。今後も同施設に置かれているシカやイタチなどのはく製を順次3Dモデル化する予定。
 動植物写真は現在のところ、「トキワイカリソウ」「シマドジョウ」などだが、季節の山野草や、動物を逐一アップしていく。
 また、観察眼の育成を目的に、「丹波市生き物観察シート」も用意。コンテンツを活用して観察した動植物を細部にわたってスケッチし、特徴や気づきなどを記入する。
 市教委は、市ホームページに「丹波っ子『学びの広場』」の欄を設け、学年ごとの動画教材を配信している。

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