猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症―。「第2波」が懸念されている中、感染拡大からこれまで、兵庫県丹波篠山市、丹波市の地域社会を維持するために奔走した人々に当時を振り返ってもらい、今後の備えを聞いた。今回は丹波篠山市立味間認定こども園の主任保育教諭、藤井なお子さん(49)。現場はどのような思いで園児と接し、感染予防策をとってきたのか。また今後に生かすことはあるのか。
―園児への感染予防策の取り組みは
園児たちの手洗い、うがいを徹底しようと思った。換気や、おもちゃの消毒にも気を使った。小さい園児には手を添えて一緒に手を洗い、上の子たちには声掛けをしてやり方を教えた。手洗い、うがいは普段から指導していたが、より丁寧に伝えるようにした。
手洗いに時間がかかり「密」になるので、一斉に手洗いをせず、グループに分けて行っている。手を洗うとき、替え歌を歌いながらする学年もあり、園児たちが嫌にならないよう工夫している。30分に1回は換気もしている。冷房をかけながら換気を行い、おもちゃは日光消毒も行う。小さい子どもたちはなめたりすることもあるので、まめに消毒している。
―子どもたちはマスクが不慣れでは
暑くなるとマスク着用が大変。0―3歳児は体調が悪くなっても自分から言えないので、よく見守っている。4、5歳児はだいぶ着用に慣れた子が多くなり、いまはよく理解し、着用している。外遊びではマスクを外している。仲の良い子どもたち同士はどうしても近くなる。スキンシップを図ることは大切なので、無理には引き離さないけれど、できるだけ密を避けるようにしている。そのあたりの葛藤は常にある。
―園行事が中止になっているが
全ての行事が中止や延期となった。実施されたのは簡略化された入園式くらい。教職員は行事を目標にして奮起する部分があるので、行事がないのは残念。地域の方との交流もなくなった。例年、茶摘みや、イモ植え、老人会との七夕交流があったが、これも中止になった。本来なら、行事を一つひとつ終えるたびに園児の成長が見られ、教職員との信頼関係もより深まるのだが。それでも地元の老人会から笹を2本持ってきていただき、園児たちが飾りつけをして、とても喜んでいた。
―教職員が普段の生活から気を付けていることはあるか
何かあったら迷惑をかけるので、私も家族も市外に出掛けることを控え、ほぼ市内で過ごすようにしている。園では、4月に新しく異動してきた先生の名前の一文字を抜き出して自己紹介する「あいうえお作文」を職員室に張り出し、先生同士のコミュニケーションを図っている。休憩も部屋や時間を分けて、密にならないよう気を付けている。職員会議も少人数で行うようにしている。
―これまでの経験で良かったことは
通常開園に戻るまで、教職員で手作りのおもちゃをたくさん作り、園児たちに好評を得ている。今まで以上に子どもたちが手洗いの習慣を身に付けた。これからも手洗い、うがい、換気などを継続し、園児一人ひとりの体調管理に気を配り、私たち自身の体調管理も徹底したい。当初、消毒用のアルコール、体温計、おむつ替え時のナイロン手袋、マスクが不足していた。さまざまな団体からの協力もあり、それらの物資が充実して良かった。今後、物資が不足しないような取り組みが必要と思う。