兵庫県丹波篠山市南矢代のプロカメラマンの酒井大輔さん(34)が、葬儀などで飾る遺影を、無地の背景でスーツや着物などを着た一般的な写真ではなく、その人らしい場所で、その人らしい姿で撮った「終活写真」として提案する取り組みを始める。まずは市民30人を目標に撮影し、今年中に写真展を開催する。「遺影の文化を変えたい」と張り切っている。
酒井さんは高校を卒業後、大学で経済を専攻。サービス業に関心があったことから冠婚葬祭業の会社に入社し、その後、ブライダル専門のカメラマンを務めた。
2018年、ブライダル写真を対象にした日本最大のコンテスト「ウェディングフォトアワード」(プロメディア主催)で最優秀の「ベストショット金賞」を受賞した腕前。同年、子どもができたことをきっかけに大阪・堺市から地元にUターンした。
冠婚葬祭業に従事していたときの遺影に使う写真の撮影会で、同じ背景、同じような服装や表情で撮影することに「違和感があり、その人らしい撮影ができないか」と感じていたという。
昨年、敬老の日のイベントで約50人の高齢者の趣味に励む姿を撮影。写真展を開いたところ、高齢者から遺影に使いたいとの声を聞いた。
また今年5月に亡くなった祖母の律子さんの葬式では、趣味の野菜づくりの様子を撮った写真を遺影として飾ると、参列者から好評を得たこともあり、「終活写真」を提案する取り組みを後押しした。
酒井さんは「高齢になるにつれ、写真を撮影する機会が減っていく。希望者には、会話を大切にしながら、その人らしい場所、姿、ポーズで撮影します」と呼び掛けている。
終活写真の撮影は無料で、丹波篠山市内であれば、思い出のある畑や自宅、趣味の場所など、撮影場所を問わない。写真展開催後、額付きA4サイズの写真を無料でプレゼントする。
申し込みや問い合わせは、酒井さん(電090・1449・5506、Eメールsadai.0823@gmail.com)。