兵庫県丹波篠山市で10月に開催予定だったものの、新型コロナウイルスの影響で中止となった恒例のお「丹波篠山味まつり」。特産の丹波黒枝豆が旬となる秋の一大イベントの中止を受け、市は、都市部の人々に自宅で味覚を味わってもらえるよう、黒枝豆をはじめとする特産物を購入できるインターネットサイトを開設する。また、一般の農家にとっても”書き入れ時”のため、宅配で販売する際の送料の助成を行い、購買を促す。事業費は、計約7500万円。市内のある農家は、「感染防止の観点からは丹波篠山に人が集まってほしくないが、枝豆が売れなければ死活問題。ネットや宅配がうまくいけばいいが」と話している。
10月のオープンを目指して開設準備が進むサイトは、販売者それぞれが持つ自前のサイトをまとめた「ポータルサイト」。特産の農(豆、米、野菜など)のほか、▽食(酒、菓子、肉、茶など)▽匠(焼き物、工芸・民芸品など)―のテーマを設定する。
購入者には一つの店で2000円以上購入した際に使える500円分のクーポン(1店舗1回のみ)が発行されるなどの特典も用意する。クーポン総額は5000万円。
ポータルサイトへの加盟は無料で、条件は、▽自前のサイトを運営している。または今回を機に開設する予定▽メールでのやり取りができる―など。商工会や観光協会の会員でなくても参加できる。100店舗を目標にしており、現在、加盟店を募集している。
運営する丹波篠山観光協会は、「オンラインを活用し、できる限り3密を回避したい。これを機にサイトを作ろうという人にはサポートする」と言い、「秋以降もサイトは維持し、『ウィズコロナ』の時代にあって、先駆けとなる取り組みにしたい」と話す。
また特産物の送料割引補助の対象とする農産物は、黒枝豆、米、山の芋。10月1―31日(山の芋は11月30日)の期間内に、消費者が負担する送料を農家が割引した場合、宅配1個当たり、上限500円を助成する。
例えば2000円分の黒枝豆を販売し、送料が1000円だった場合、農家があらかじめ送料を500円割引して販売。本来の送料1000円は農家がいったん負担し、市に請求することで500円が助成される。
申込書は地域の農会長を通じて配布する。個人や集落単位での申し込みもできる。
同事業に2500万円を確保している市は、「インターネットや電話などで注文を受けて市外に発送するケースが多くなっている。助成で少しでも販売につながれば」と話している。