新型コロナウイルスの感染防止を目的に兵庫県丹波篠山市教育委員会は、市内小、中、特別支援学校の消毒作業を行う「スクールサポートスタッフ」を募集している。校内の消毒は教員らが行っているものの、児童・生徒が帰宅した後の作業となるため大きな負担になっている。解決策として国などが創設した事業を活用しているが、なかなか人が集まっておらず、市教委は、「消毒はコロナ禍でできた新たな作業で、もちろんやるべきことだが、教員の超過勤務にもつながっている。子どもたちの安心・安全な生活を守るためにも、ぜひ協力してほしい」と呼びかけている。
市の会計年度任用職員として雇用するサポートスタッフは、市内20校全てに配置する計画で、7月下旬から募集しているが、現在1校のみ配置できている。
国などが教員の負担軽減などを目的に創設した補助事業を活用。各校とも週2日はシルバー人材センターに委託しており、残り3日についてスタッフを募集している。
業務内容は、校内などの消毒作業がメーン。ほかにソーシャルディスタンスを取るためのラインを引く作業や、予防を啓発する書類をコピーするなど、コロナ関連の作業を担う。
1日2―3時間の勤務。曜日は学校によって異なる。時給は933円で、通勤手当は別途支給する。
先陣を切って同スタッフによる作業が始まっている市立多紀小学校では、校区内で暮らす元校務員の山中清子さんが勤務。ドアノブや机、いす、階段の手すり、蛇口など、子どもたちが頻繁に触れる個所をアルコールスプレーと紙ナプキンで消毒している。これまで教員が行っていた、外部の人も使用するトイレの清掃も担っている。
同校の押部匡子校長によると、これまでは教員13人が児童の下校後に30分超かけて消毒作業を行っており、大きな負担になっていた。「山中さんに来ていただいたことで、先生の負担軽減はもちろん、翌日の授業の準備など、子どもたちのための時間が確保できる。本当にありがたい」と感謝する。
山中さんは、「校内に珍しい人がいると、子どもたちが寄ってくるので接触には気を付けないと」と苦笑しつつ、「みんなの元気な姿を見ることが一番。少しでも役に立てたら」とほほ笑んでいる。