静かな森の中で耳を澄ますと、あちらこちらから「コツコツ」という音―。兵庫県丹波篠山市今田町下小野原の山林で、野鳥の「ヤマガラ」(シジュウカラ科)が、鈴なりに実ったエゴノキの果実を目当てに飛び交い、ひと足早い”実りの秋”を堪能している。
ヤマガラたちは、小さなくちばしで素早く果実をもぎ取ると、枝の水平な部分に飛び移り、両足で果実をしっかりと固定。毒のある果肉の中から黒くて硬い種子だけをつまみ出し、キツツキのように種子に何度もくちばしを突き立てては、中の柔らかな部分を食べていた。
割った種子は全て食べるのではなく、餌が乏しくなる冬に備えて、地面や幹に空いた穴などに隠しておく「貯食行動」も観察できる。