夕焼けと瑞鳥 暮れ時の競演

2020.09.23
地域自然

ねぐらにしている電柱に飛来したコウノトリ(J0291)=丹波篠山市追入で

兵庫県丹波篠山市追入の水船幸子さん宅の裏に立つ電柱がコウノトリのねぐらになっている。少なくとも9月19―21の3日間、この電柱のてっぺんで夜を過ごしている。21日の夕方、「だいたいこの時間に帰ってくる」と、ご近所さんや連休で実家に帰省していた10人近くが軒先に出て、コウノトリの「帰宅」を今か今かと待ち構えた。午後5時40分ごろ、ギャラリーが見守る中、翼開長が2㍍近くにもなる大きな鳥影が夕焼け空を舞い、旧家の大屋根をかすめたかと思うと、電柱にふわりと舞い降り、同時に「わーっ」と歓声がわいた。

3日間観察を続けたのは、水船さんの息子、理仁(みちひと)さんの妻の佳世さん。4連休を利用して、神戸から家族と共に夫の実家に帰省していた。

佳世さんによると、朝は日の出の少し前に、ねぐらを飛び立つのだという。21日は午前5時40分だった。

その日の午後、水船さんの家から国道を挟んだ山すその田んぼでコウノトリを確認。薄暗くなるまで、田んぼの中をゆっくりと歩きながら採餌する姿が見られた。

夕暮れが迫ったころ、突然、力強い羽ばたきと共に空へと舞い上がり、ぐんぐん水船さん宅にせまってきた。「うわあ、来た来た」。地上の騒ぎなど気にする様子はなく、住民らの頭上を旋回した後、電柱に軽やかに舞い降りた。

夕暮れをバックに電柱のてっぺんでたたずむコウノトリ

子どもたちがそばに駆け寄っても平然としたままで、オレンジ色の夕焼けをバックに、せわしなはづくろく羽繕いしていた。

佳世さんは、「期待通り、今日も帰って来てくれた。明日もこうしてそばで見られるかもと思うと、明日(22日)神戸に帰るのが惜しい」と話し、佳世さんの息子、尊(たける)君(10)は、「神戸では絶対に見られない鳥。大きくて、飛んでいるときの翼の形がかっこ良かった。コウノトリは鳥の中の鳥だ」と声を弾ませていた。

足環から、今年6月20日に朝来市和田山町久田和の巣塔から巣立った雄(J0291)であることが分かった。

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