兵庫県丹波篠山市内で一部の桜が開花している。春だけでなく、秋にも咲く「十月桜」や「子福桜」系統の桜ながら、9月中に咲くのは珍しく、「狂い咲き」の一種のよう。ひと足早い”秋の味覚”に、ヒヨドリたちも蜜を求めて飛来している。
地元の桜守・吉良勉さんは、「十月桜や子福桜であっても開花するには早い」と言い、「今夏は日差しが強く、台風などで通常よりも早く葉が落ち始めたことで、桜がホルモンバランスを崩したのではないか」と推測する。
多摩森林科学園(東京都八王子市)は、「サクラ類は普通、春に開花するが、花芽自体は前年の夏に形成され、冬まで休眠する。ところが、何らかの原因でうまく休眠しないと秋に開花することがある」とし、「冬桜や十月桜などが秋から冬・春まで断続的に開花するのも遺伝的な要因でうまく休眠できないと考えられる」という。
また、春にだけ開花するソメイヨシノなども、台風や虫害などによって落葉すると、うまく休眠できずに秋に開花することがあるそう。
人間だけでなく、桜にとっても、今年はいつもと違った一年になっているようだ。