兵庫県丹波篠山市今田町下立杭に10月1日、グランピング施設「立杭てらす」がオープンする。オーナーの中井基治さん(72)が、自身が経営していた電磁波測定を手掛ける会社の建物と敷地を自力で改修・整備し、約2年をかけて完成させた。四季折々の自然に囲まれた静かな高台で、優雅で快適なキャンプを満喫できる。中井さんは「原風景が残る丹波焼のまちで、普段と違う一日を過ごしてもらえれば」と話している。
グランピングは、「グラマラス(魅力的な)」と「キャンピング」を掛け合わせた造語。キャンプ初心者でも設備が整った環境でぜいたくなアウトドア体験ができるとして、近年、国内外で人気を集めている。
宿泊できるのは3棟。本格的なドーム型テントで、四季折々の風景を眺望できる「マロン」、ウッドデッキの上にある「オニオン」の2棟(共に直径約6メートル、広さ約29平方メートル)と、電波を測定するオープンサイト(実験室)を改修した「のぼりがま」1棟(直径約4メートル、長さ約9メートル、広さ約35平方メートル)がある。いずれも宿泊定員は4人。
ベッドやソファー、冷蔵庫、電子レンジ、Wi―fi環境のほか、清潔感漂う洗面所やシャワールーム、トイレ、炊事場も完備している。テーブルや食器、テント、ガスコンロなどが用意されており、食材さえ持ち込めば誰でも本格的なバーベキューが楽しめる。ミニプール、セグウェイなどのアクティビティを準備しているほか、陶芸体験や料理教室などのイベントも定期的に催す。
長年、電子機器関連会社に勤めていた中井さん。その後に立ち上げた会社も約5年前にたたんだ。2年前、「若い人の中に入って、新しい事業のヒントを得よう」と、農村での起業・継業を学ぶ「篠山イノベーターズスクール」に入学。「地域の魅力や景観を生かせるのでは」と、地元にグランピング施設を造ることを思いついた。
以降、近隣住民らと共にテントやウッドデッキの設営、建物の改修、芝生の整備などの作業に精を出し、今年3月に待望の施設が完成。「みんながボランティアで助けてくれてありがたかった」と感謝する。しかし、オープンは新型コロナウイルス感染拡大の影響で延びていた。
中井さんは、「お客さんが次に来たとき、『あ、何か変わったな』と思ってもらえるぐらいに、『成長する施設』にしたい」と意気込んでいる。
宿泊料金は1人1万3000円。要予約。貸し切り利用も可能(要相談)。チェックインは午後1時からで、チェックアウトは午前10時まで。火・水曜定休。宿泊予約、問い合わせは中井さん(メール=nakai@tachikui-terrace.com)。