兵庫県高齢者特別賞表彰 田中庸介さん(丹波市)

2020.10.11
たんばのひと

現役で地域医療に貢献

田中外科医院(丹波市山南町谷川)を開業し56年。90歳の現在も、2週間に1度、胃カメラなどを担当している。山南中の学校医と山南町内3企業の産業医も務め、先月、社会に貢献している90歳以上の人に贈られる「兵庫県高齢者特別賞表彰」を受賞した。
学校医や産業医の任務と住民の健康診断は、開業医が受け持つことになっているが、現役の忙しい医師には負担となっているため、「うちのように2世代で診療している開業医では、こうした仕事に“老医”が活躍しているケースがよくあります」。
氷上町成松の生まれ。戦時中だった旧制中学生の頃、商売をしていた父から「医者になれば、戦時でも戦後でもお役に立てるだろう」と言われたことがきっかけとなり、京都の旧制第三高校に進み、京都大学医学部に進学した。
「開業した頃、100歳の人の脈を取ってみたいと思っていた。30年ほど前に叶ったときは感激したが、今では珍しくなくなった。長寿になったと実感します」
普段の住まいは、宝塚市の高齢者住宅に移し、そこでのサークル活動を楽しむ日々。年齢を感じさせないほど活発な生活を送っているが、「もともと健康をいただいているから社会活動ができるのか、人と出会ったりしているから元気なのかは分かりません」と笑う。
仕事は「判断を間違うことがあっては迷惑がかかる」と引退をにらみつつ、「地元から完全に離れてしまうのはさみしい。できる限り行き来する生活を続けたい」。山南ライオンズクラブの例会も楽しみにしている。

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