11月に「集大成の個展」
11月14日から23日まで植野記念美術館(丹波市氷上町西中)の研修室で個展を開く。子ども時代から絵に親しみ、社会人になってからは仕事と絵画の二足のわらじをはき、85歳になった今も絵画に打ち込み、丹波市内の4つの絵画サークルで指導にあたる日々を送る。「これまでに開いた個展は10回を超えますが、今回の個展は絵画人生の集大成になると思う」と話す。
小学校時代、自宅近くの当時珍しかった舗装された道路でロウセキを使って軍艦や戦闘機を描くことを楽しんだ。4年生のとき、地元の円通寺の仁王像を描いた絵が氷上郡のコンクールで金賞に入った。「氷上郡公会堂に展示され、家族もたいそう喜んでくれた。絵にのめり込むきっかけになりました」
定時制高校に通いながら15歳から郵便局で働いた。我流で絵を描いていたが、先輩の郷土画家に誘われ、新世紀美術協会に入会、多くの絵画仲間と出会った。「絵画に対する厳しさが私とは違い、鉄槌を食らったような気がした。一皮むけましたね」。いっそう絵画にのめり込み、各種公募展で入賞入選を重ねた。絵画に専心したいと、定年を待たずに57歳で早期退職した。
個展では50号を中心に約25点を展示する。雪景色、農作業小屋、漁港などの風景画のほか、自画像もある。「居酒屋の店内を描いた絵もあります。その店で飲んでいるとき、カウンターに突っ伏した男性がいて、絵になると思い、家に帰ってからスケッチをして仕上げました」という。
出品作品の多くは、退職後から70歳にかけてのものという。「旧作が多いですが、その頃と今も意気込みは変わりません。何事にも興味津々で、意気軒こうです」