音楽院2回生 吉田大介さん(丹波篠山市出身)

2020.10.04
たんばのひと

吉田大介さん

演奏者であり探究者

タッチ、ニュアンス、テンポ―。同じ曲でも奏者によって変幻自在に表情を変える音楽。「曲に含まれている情報を解釈し、『なぜここでこの音?』などと、“調査”を進めていく。そして、音が見せてくれる世界を自分なりに表現する。それが音楽の楽しさです」。若きピアニストは、演奏者であり、探究者でもある。

幼少期にピアノを始め、ピアニストの多川響子さんや多川さんの恩師の馬場和世さんらに師事。さまざまなコンクールで優秀な成績を残した。

篠山鳳鳴高校を卒業後、イギリスの王立バーミンガム音楽院に全額奨学生として進学。各国から集まる学生たちと親交を深め、研さんを積んでいる。

与えられた課題が弾けず、大きなショックを受けたこともある。悔しさをばねにして練習に励み、課題を乗り越えると、他の曲も一気に弾けるようになったと言い、「『僕の』ですが、殻を破るきっかけになった」と話す。

一方、「作り上げられた曲の世界に20歳そこらの自分の常識を当てはめるなんて、おこがましいとも思う」と音楽に対して清廉なまなざしを向ける。

現地のコンクールでも実績を残し、昨年には音楽院の代表として全英の学生が集う大会に出場。3位入賞を果たした。

イギリスもコロナ禍の中。危険を感じ、4月から一時帰国しているが、来年にはロンドンでのソロコンサートが控えている。

将来はまだ定まっていないものの、発展途上国に音楽教師として出向く仕事に関心がある。「まだまだ音楽が浸透していない国に音楽の良さを伝えたい」

尊敬するピアニストはマルタ・アルゲリッチ。宇宙の成り立ちにも興味がある。21歳。

 

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