「来てほしいけど感染怖い」… 紅葉の観光シーズン到来 団体減も個人客は不透明

2020.11.01
ニュース丹波市地域地域

消毒用アルコールを置く台を設置し、個人と団体客とを分けるゲートを設け、紅葉狩りの観光客を待つ高源寺=2020年10月30日午前7時37分、兵庫県丹波市青垣町桧倉で

新型コロナウイルスが依然くすぶる中、紅葉の名所が多い兵庫県丹波市で観光ハイシーズンの季節を迎えた。バス利用の観光客は大幅に減ると見込まれる一方、ドライブで立ち寄る個人旅行客の数は増えるのか、減るのか、見通しが立たない。感染は怖いが、観光客には来てほしい市内の名所は感染対策を講じながら、何事もなくシーズンを終えられることを祈っている。

市内10カ寺で観光キャンペーン「丹波もみじめぐり」を展開する市観光協会によると、10カ寺の昨年の入込客は8万7000人だった。先月開いた打ち合わせ会では、昨年は586台だった観光バスが今年は大幅に減ることが分かった。60台以上の利用があったある寺院は、今年は1台の予約も入っていないという。360台と昨年最も多かった高源寺(同市青垣町)の山本祖登住職は、「旅行社の数は例年並みだが、乗車定員を減らしており、団体客は減る」と見る。

見通せないのが個人客。特産品の丹波栗や丹波黒枝豆といった秋の味覚を買い求める個人客で、道の駅「丹波おばあちゃんの里」(同市春日町)は、週末には臨時駐車場が満車になるぐらい観光客が訪れている。野原正章支配人によると、10月は対前年同月比で1・4倍の売り上げ。11月も1・2倍を見込む。「阪神間からの日帰りドライブ客が多い。紅葉見物客も多いのでは」と予想する。

市観光協会は、観光客を受け入れる各寺院の関係者に、マスク着用、消毒液の設置、県の新型コロナ追跡アプリのQRコードの掲示などを求めている。

石龕寺(同市山南町)はぜんざい、高山寺(同市氷上町)はきねつきもちの提供、達身寺(同)、慧日寺(同市山南町)は寺の案内をそれぞれ中止するなど、檀家やボランティアが行っていたもてなし催事を一部縮小、人との接触機会を減らす。

駐車場係、入山料受け取り係で、会員(檀家)が毎日3―5人ずつ出役する高源寺の保存会は、入山料支払い窓口の混雑を避けるため団体客用ゲートを設けてパンフレットの手渡しをやめ、境内に置いた。消毒用アルコール、非接触式体温計も2つ購入した。団体客の健康はツアー会社がある程度把握するが、個人客の体調は分からない。

足立輝明保存会長(73)は、「出役する檀家の多くが高齢者。村の人を感染から守らないといけない。参拝されるときはマスク着用、手指消毒に協力を」と言い、「駐車場に借りている土地の支払いなどがあり、無料開放というわけにもいかない」と苦しい胸の内を語った。

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