創作舞「天麻那舞」舞い手 荻野夏希さん(丹波市)

2020.11.08
たんばのひと

荻野夏希さん

舞が導く“自分の在り方”

弦楽器・二胡などの音色に合わせ、複数の女性が神社の拝殿で奉納する創作舞「天麻那舞」に取り組む。真っ白の衣装に身を包み、鈴や精麻の飾りを手に、指先まで意識した優雅な舞を披露している。

天麻那舞は、神道で重要視される大麻を飾りに用い、舞うことで空間の清らかさをもたらすという。巫女舞などに携わった新潟県出身の女性が数年前に創始した舞で、全国12カ所で教室が開かれ、舞い手は100人以上。特定の宗教に属したものではなく、自身の精神面を整えることも大切にしている。

大阪市出身。2008年、豊かな自然環境下で子育てをしたいと、夫の地元・丹波市に移住した。天麻那舞との出合いは3年前。先に友人が始めたことがきっかけとなり、大阪で月に1度開かれる教室に通い始めた。それまで自身の体に向き合ったことはなく、舞を通じて体を整えることは新鮮だったという。これまで亀岡市の出雲大神宮、淡路市の伊弉諾神宮などで奉納した。

型に沿って舞う群舞。「周りの舞い手の空気を感じないと、美しくない」と話す。それは日常生活にもつながると感じており、「自分さえ楽ならよい」という独りよがりな考えをしなくなったという。「舞うことが、普段の“振る舞い”につながると考えるようになった」と言い、その効果を感じている。

舞う際に大切にしていることは、「今に居続けること」という。「次の動きに意識が飛ぶとスムーズでなくなり、途端に舞ではなくなる」と語る。「舞は自分と向き合う時間で、女性であることに喜びを感じる。丹波で天麻那舞を伝えられるようになれれば」。41歳。

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