弁護士資格持つ関西テレビ記者 上田大輔さん(大阪市)

2020.11.29
たんばのひと

上田大輔さん

SBS番組で報道各賞

揺さぶられっ子症候群(SBS)をテーマにした、「ふたつの正義」(2018年)と、続く「裁かれる正義」(19年)の番組ディレクターを務め、日本民間放送連盟賞テレビ報道番組優秀賞、坂田記念ジャーナリズム賞など数々の賞に輝いた。番組放映後、いわゆる「乳児揺さぶり虐待事件」で、逆転無罪判決が相次ぎ、報道が司法に影響を与えた、と言われている。

09年1月、企業内弁護士として関西テレビに入社。7年余り、法務・著作権に関わる業務に従事した。刑事司法を扱う報道に、メディアとしてなぜもっと深く追及しないのかと思いが募り、「自分のアプローチで、現場をやってみたい」と異動を希望した。「記者を辞め法曹へ、はある。法曹資格を持ち、記者に転じた前例はないかもしれない。記者はおもしろい。できる限り長く続けたい」。

夕方のニュース番組「報道ランナー」、深夜のドキュメンタリー「ザ・ドキュメント」が主戦場。現在は大阪府庁を担当しながら、引き続きSBS問題を追っている。

弁護士資格を持つからこそ刑事司法に強い問題意識を抱いている。「例えば日本の裁判官は、医学を含め、科学的証拠を吟味するのが苦手。SBSはまさにそう。刑事司法の本質を様々な切り口で伝えたい」と、報道の新境地を切り開こうとしている。

祖父も父も医師。医師にならなければならないのかなと考えた時期もあったが、自然科学より、人文社会領域により引かれた。「子どもの頃から本が好きなのは、両親(康夫さん、久美子さん)の影響。タイプは違うけれど、2人とも読書家でしたから」。42歳。丹波篠山市出身。

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