兵庫県内各地で狩猟が解禁され、猪肉を使った郷土料理「ぼたん鍋」発祥の地、同県丹波篠山市では本格的な鍋シーズンに入った。今年はコロナ禍中ということもあり、市内の料理旅館などでは、感染対策を徹底したうえで観光客を待つ。
ぼたん鍋は猪肉を野菜や豆腐などとともに味噌ベースの出汁で食べる。かつて市内に駐屯していた「陸軍歩兵第70連隊」が銃の訓練で捕獲したイノシシの肉をみそ汁に入れたことが起源。後に小唄に歌う際、「唐獅子牡丹」の「しし」と「ぼたん」の語呂合わせで、「ぼたん鍋」に決め、肉をボタンの花のように盛り付ける手法も広まった。
同市立町の料理旅館「池富」では、直箸をしないことや換気の徹底のほか、席の配置を工夫するなど感染対策を行っている。5代目店主の林大司さんは、「今年は一人鍋の注文が多い。また、大人数であっても従来のようにみんなで鍋をつつくのを避け、一人鍋を20卓分という注文もあった」と言い、「一方で、忘年会などの宴会は激減している。各店とも一生懸命、対策をしているので、密を避けながら、冬の味覚を食べに来てもらえたら」と話している。