結婚70年 亡き夫と感謝の寄付 300万円を市と社協に 「2人で地域への恩返し」

2020.12.25
地域

酒井市長に夫の保男さんが遺した200万円を寄付する藤木さん(撮影時のみマスクを外しています)=2020年12月25日午後3時50分、兵庫県丹波篠山市北新町で

兵庫県丹波篠山市の藤木千皓さん(91)が25日、同市に200万円、同市社会福祉協議会の善意銀行に100万円を寄付した。いずれも今年10月に他界した夫・保男さんが遺したお金で、「結婚70年の節目の年に2人で寄付しよう」と決めていたもの。保男さんとの約束を叶えた藤木さんは、「体はなくなったけれど、夫は私の心の中に生きている。今日は2人で寄付に来ました」と涙と笑顔を浮かべた。

同じ地区で生まれ育ち、ともに人生を歩んできた2人。民生・児童委員や市の初代愛育会長を務めるなど、地域福祉やボランティアに長く携わった藤木さんを陰で支えたのが保男さんだった。藤木さんは、「本当にこの人と結婚してよかった。あべこべの内助の功でした」と振り返る。

保男さんは10月に体調を崩し、95歳で他界。亡くなる直前には、「自分の人生はほんまによかった。ありがとうな」との言葉を残し、旅立つ瞬間には家族に、「お母ちゃんの笑顔はみんなを温かくする。自分はその笑顔を何とか保ってきた。みんなにバトンを渡す」と笑顔で告げたという。

2人は今年の年頭に、「互いの健康」と「寄付」を約束しており、藤木さんは保男さんがコツコツと貯めてきたお金を寄付した。

藤木さんは、「私たちは地域に大きくしてもらった。その恩返しです」とほほ笑み、「夫は最後に笑顔を残してくれた。人生のあるべき姿をしっかりと子どもたちにも見せてくれました」と目を潤ませる。

市への寄付については、新型コロナウイルスへの対応も含め、「少しだけれど、今すぐにお金が必要という時に使ってもらえれば」と言い、「私たちの寄付が種になり、一人でも後に続く人があってほしい」と話した。「自分たちが生きた証しに」と、今後も結婚記念日の11月26日に寄付を続けるという。

受け取った酒井隆明市長は、「自分のためでなく、人のためにお金を使われることに、心から敬意と感謝を申し上げたい」と話していた。

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