部活指導員を積極的に配置 中学校の部活維持と教員負担減で 顧問の経費など予算化も

2020.12.11
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市長と教育委員らで組織する兵庫県丹波篠山市の「総合教育会議」はこのほど、市内中学校の部活動を巡って、今後のあり方の方向性をまとめた。学校に外部人材の「部活動指導員」をより積極的に配置し、部活動の運営をサポートするなどして教員の負担軽減を図りながら、合同チームへの支援などで生徒が希望する部活の機会を損なわないように配慮する。部員の減少などにより、部活の維持が難しくなっている一方、顧問を務める教員の超過勤務が問題になっていることなどを受けて昨年度から議論してきた。酒井隆明市長は、「最後は学校が決めてもらえばいいが、『人数が減れば廃部』ではなく、できるだけ生徒や地域の声に配慮し、柔軟な対応を取っていただきたい」としている。

部活を「思春期の生徒たちの心と体の健全な育成を図ることなど、大変意義深いもの」と定義する一方、朝練や放課後など、教員の超過勤務の増大が問題視されていることから、「負担軽減や適正化が必要」とした。

今年度、すでに10人の指導員が部活の支援に入っているが、教員の負担軽減と部活動の維持を成り立たせるため、来年度にも個別の部活だけでなく、学校の部活全体を考え、サポートする人材を配置することを検討。技術指導にとどまらず、部活に責任を持ち、教員の立場を尊重できる人材になってもらうため、指導員にさらなる研修を実施する。

顧問を務める教員の用具購入や審判講習の費用などの必要経費、合同チームを組んだ場合の移動用車両についても来年度、予算化する方向性を示した。

また文科省が教員の負担軽減のため、休日の部活動を地域で担うとする方向性を出しているため、市でもどのような体制が構築できるか、調査を進める。

部活動の運営や顧問の配置、結成・廃止などの決定権は校長にあると定義しつつ、決定に当たっては、生徒、保護者、地域住民の意向を十分に配慮し、「地域住民も交えた学校運営協議会などで話し合われることが望ましい」とした。

市内には5つの中学校があり、最多で17種の部活を持つ学校がある。他校と「合同チーム」を結成している部活は3つある。

昨年度、市内中学校で部活の廃部・存続を巡って議論が起こり、署名運動に発展したことから、酒井市長は教育委員を交えた総合教育会議を開催し、▽少子化により、集団スポーツのチーム編成ができない▽部活の種類の減少▽学校の小規模化による顧問・指導者の不足、負担―などを課題として上げ、今後の部活のあり方を検討してきた。

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