特殊詐欺を未然に防いだとして兵庫県篠山警察署はこのほど、同市黒岡の中兵庫信用金庫篠山支店に勤務する下井富貴子さんと小阪優子さんに署長感謝状を贈呈した。10億円という高額当選の虚偽メールが届いた60代女性が「10億円が振り込まれているかどうか確認してほしい」と来店。メールの内容などを確認した上で、30分以上をかけ、2人で丁寧に説得した。
同署によると、入金がないことを確認した小阪さんは、「電子マネーを買って番号を連結させたらお金が入ると聞いた。おかしい」と納得しない女性に来店した経緯を聞き取ったものの、話がかみ合わず、「詐欺に巻き込まれている」と、直属の上司の下井さんに相談した。
下井さんは、「相手様はどういう方ですか」「お知らせなどがあった書面はお持ちですか」などと落ち着いて質問し、女性のメールを確認。兵庫県警から金融特殊詐欺の未然防止に取り組む「声かけサポートリーダー」に委嘱されている同支店の吉竹寛之次長に報告し、同署へ通報した。
女性には、銀行員や弁護士らを装ったアドレスから入金を催促する内容のものなど、4日間で約30件のメールのやり取りがあったという。女性は計4000円分の電子マネーを購入していたが、入力作業に手間取ったことで難を逃れた。
下井さんは「被害なく終わったことがなにより。未然に止められて本当によかった」と安堵し、小阪さんは「詐欺は身近に潜んでいると感じた。怪しいメールが来たという方が来られたら、また親身になって話を聞く努力をしたい」と話していた。
同署の森江満署長は「職員の方の連係プレーで大きな被害なく、水際で食い止めることができた」と感謝していた。