新市長の「市民に2万円」案を否決 選挙公約「5万円」から修正も コロナ対策「議会の理解得られると思った」

2021.01.19
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記名投票による採決が行われ、投票した札を確認する議員や職員=2021年1月19日午前11時56分、兵庫県丹波市氷上町成松で

兵庫県丹波市議会は19日の本会議で、同市の林時彦市長の選挙公約「新型コロナウイルス対策として全市民に現金5万円給付」を修正した、「全市民に商品券2万円交付」事業を含む一般会計補正予算案を否決した。前日には、同議案を詳しく審議した予算決算常任委員会でも否決されていた。

採決では議長を除く議員18人が賛成9、反対9に割れたことから、藤原悟議長が採決に加わり、反対とした。

商品券2万円分の交付事業案は、総額13億2948万1000円。国のコロナ対応地方創生臨時交付金5億8000万円や、市の予算の組み替えなどで捻出するものだった。

林市長は昨年11月の選挙時、市の新庁舎建設計画を凍結し、庁舎建設に充てるために市が積み立ててきた庁舎整備基金(約22億円)を財源に、全市民に5万円を給付することなどを掲げ、現職を破って初当選。その後、コロナの感染拡大と「行政の継続性」を理由に、5万円の現金給付から減額した商品券2万円交付事業に切り替え、財源も庁舎整備基金は崩さない内容に修正して提案していた。

本会議で反対討論を行った議員は、「感染者が増加し、予断を許さない状況。緊急事態宣言も発令されている中、影響を受けている事業者は苦境に立たされている。このようなところに支援すべき」「公約の一部を達成するために、国の交付金を充当しようとし、予定していた感染症対策を見送っているものもある」などとした。

林市長は、予算委での否決時、取材に対して、「市民に寄り添う唯一の方法と思っていたので、大変残念。議会の理解は得られると思った」としていた。

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