これが世界最小の恐竜卵化石 ジオラマを初公開中 獣脚類の進化たどる特別展

2021.01.16
地域自然

世界初公開の「ヒメウーリサス・ムラカミイ」のジオラマ=2020年12月23日午前10時22分、兵庫県丹波市山南町谷川で

恐竜化石産出地の兵庫県丹波市にある「丹波竜化石工房ちーたんの館」で、丹波地域(同市、丹波篠山市)に広がる約1億1000万年前の地層「篠山層群」から発見された獣脚類の仲間を紹介する冬期特別展「ちいさな肉食恐竜の神秘」が開かれている。同類の中でもコエルロサウルス類のほとんどは羽毛をまとい、さらに一部のグループは翼を持っていたと考えられている。これらのグループから鳥類が出現したとされ、同展では、30点以上の化石標本を通じて、獣脚類の進化の道のりをたどっている。2月28日まで。月曜休館。

体長約2メートルの獣脚類ドロマエオサウルスの全身骨格や始祖鳥などの化石レプリカなどを展示。昨年、同市山南町上滝で発見された世界最小の恐竜卵化石「ヒメウーリサス・ムラカミイ」のジオラマは世界初公開という。

ヒメウーリサスの発見は巣の残骸のみで、幼体や親恐竜の化石は見つかっていないため親恐竜は不明。しかし卵殻の形状や構造から、ドロマエオサウルス科のような鳥類に近い小型獣脚類の卵だったとされている。同館は、「始祖鳥やスズメにいたる全ての鳥類は、ドロマエオサウルス科やトロオドン科などの小さな肉食恐竜と共通の祖先から分かれて進化した」とし、「鳥類は恐竜類の1グループで、獣脚類に属する」と解説している。

このほか、パネルで羽毛の進化や、歯が消失しくちばしへと進化した過程を解説。「6600万年前の小惑星衝突による大量絶滅を生きのびたわずかな新鳥類は、爆発的に多様化し、現在、1万種を超えるほどに繁栄。その数は哺乳類の倍以上。2億3000万年前から続く獣脚類恐竜の進化史の一幕にすぎず、恐竜時代は今なお続いている」と締めくくっている。

近年、丹波地域からは、ティラノサウルスの仲間とテリジノサウルス類の歯、トロオドン科の骨格など、肉食恐竜(獣脚類)の化石が発見されており、これらの獣脚類はコエルロサウルス類というグループに属している。「ヒメウーリサス」をはじめ、これまでに発掘された卵・卵殻化石から、同市は世界でも有数の恐竜卵化石産地であり、さまざまな小型獣脚類が生息していたことがが明らかになっている。

入館料210円、小中学生100円。開館は午前10時―午後4時。

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