市長「現実をとった」 「5万円」公約修正、商品券2万円に コロナで状況変化も「市民を幸福に」

2021.01.12
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丹波市議会本会議で提案説明する林市長=2021年1月12日午前9時41分、兵庫県丹波市氷上町成松で

兵庫県丹波市の林時彦市長は12日、昨年11月の選挙時に掲げた公約「新型コロナウイルス対策として全市民に現金5万円給付」を修正した、「全市民に商品券2万円分交付」議案を市議会に提案した。大幅な公約の修正について「現実をとった」と説明し、「公約に対する責任の重さは十分に理解しているが、(選挙時の)11月以降の状況は変化している。状況を見極め、冷静かつ柔軟に対応することが持続可能な市政運営、市民の幸福になるものと判断した」と述べた。

商品券2万円分の交付事業案は、総額13億2948万1000円。国庫支出金5億8000万円や、市の予算の組み替えなどで捻出する。林市長は選挙時、市の新庁舎建設計画を凍結し、庁舎建設に充てるために市が積み立ててきた庁舎整備基金(約22億円)を財源に、全市民に5万円を給付するとしていた。

林市長は本会議での議案提案説明で、公約の修正について「現在はコロナの第3波の真っただ中。第4波、5波など万が一への備え、コロナ後の社会情勢の変化などにも柔軟に対応しなければならない」と述べ、理解を求めた。

昨年4月、国が一律10万円を給付する特別定額給付金事業に上乗せする形で、市が市民に対し支援金を出すアイデアを提言したと説明。「市民一人ひとりで状況は異なり、必要な支援も異なる」とし、「一律2万円を市民に届けることで、多様な効果が得られると考えた」とした。現金ではなく商品券としたことについては、「地元にお金が落ちる方法として考えた」と述べた。

当初、財源にするとしていた庁舎整備基金は取り崩すのに条例改正などが必要で、「私の一存で取り崩すのもいかがかと思うし、時間がかかる。国からのコロナ対応地方創生臨時交付金は来年度に繰り越せず、3月までに議案を出すのが不可能になってしまう」とした。

選挙で当選し、「信任を得たのであれば公約通り突っ走っていいのかもしれないが、それは私の政治信条に合わない。全市民に寄り添うべきだ」と話した。「市長になり、市政の継続性を考えた結果、今回の議案の提案となった」とし、「勇気ある決断だと思っている。批判は甘んじて受け入れる」と述べた。

議員から「選挙対策だったと言われかねない話だ」と指摘があり、林市長は「昨年4月の段階で、前市長に国の10万円給付事業に市が上乗せをしてはと提言した。選挙のために考えたことではない。選挙対策ではなく、私が一番良い施策だと思っている」と理解を求め、公約を修正したことについては市民に丁寧な説明をするとした。

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