「おっ」と思ったら医学論文に 「お蔵入りなし」医師が著書で秘けつ伝授

2021.02.08
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自身初の単著「オールインワン 経験症例を学会・論文発表するTips」を手にする見坂センター長=2020年12月24日午後9時35分、兵庫県丹波市氷上町石生で

兵庫県丹波医療圏の中核病院、県立丹波医療センター(同県丹波市氷上町)の地域医療教育センター長の見坂恒明さん(45)が、「オールインワン 経験症例を学会・論文発表するTips」(金芳堂、税別3600円)を出版した。単著は自身初。症例を見つけ、学会発表し、論文発表するまでの一連の流れを、コツとともに紹介している。自身100本ほどの論文を発表し、お蔵入りはゼロ。「上級医が試行錯誤しながら、経験則で教えているのが実際。私の一意見ではあるが、少しでも参考にしてもらい、医学と医学教育の発展に寄与できれば」と話している。

同センターで研修医の指導にあたる見坂さんは、神戸大学大学院医学研究科地域医療支援学部門特命教授で、臨床家(内科)で研究者、教育者の顔を持つ。所属学会のひとつ、日本プライマリ・ケア連合学会で開いた論文の書き方の勉強会が、出版社の目に留まった。

文献検索の仕方、抄録の書き方、発表できる症例の見つけ方、スライド・ポスターの作り方、学会発表の仕方、論文の書き方、電子投稿の仕方、査読者(学術論文を査定する専門家)とのやりとりなど、細部までノウハウを提供している。

病名の診断や治療方針が分からない時は、論文を読んで適応を調べるのが医学の世界。「論文にして発表することで、個人の経験が世の中に出る。同じ症例を診る時に、誰かの論文があれば、もっと最短、もっと良い選択の治療ができる。また、査読者とのやりとりで、診療のマネジメントがより磨かれる。論文を書いて発信することは重要」と意義を説く。

「すでに分かっていることは論文にならない。重箱の隅をつつくような事でも、新規性があれば論文になる。困ったり、『おっ』と感じる気持ちが、論文の原点」と話している。

昨年から今年にかけて、新型コロナウイルスの感染拡大で、学会出席や大学院の会議などがオンラインとなり、移動に費やしていた時間を本の執筆にあてた。

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