兵庫県篠山警察署は16日、特殊詐欺を未然に防いだとして、同県丹波篠山市にある「ローソン篠山古市店」オーナーの後藤浩喜さん(59)に署長感謝状を贈呈した。「2億5000万円を受け取ることができる」という詐欺メールを信じ、「手数料」とする4万5000円の電子マネーを購入しようとしていた60代男性を、署員が駆け付けるまで粘り強く引き止め、被害を防いだ。同店で特殊詐欺を防いだのは2回目となる。
男性は先月16日午後8時ごろに来店。後藤さんはそれまでに数回、同店を訪れて計約20万円分の電子マネーを購入する男性の姿を確認しており、詐欺に遭っているのではないかと疑っていた。
今回こそ「何が何でも引き止めよう」―。そう決意した後藤さんはすぐさま110番通報し、男性に声を掛けた。男性はかたくなに「詐欺ではない」と帰宅しようとしたが、署員が来るまでの約30分間、店内のイートインスペースで世間話を交わすなどして落ち着かせ、時間を稼いだ。
同署によると、男性は1年以上前、動画共有サイトのバナー広告から、投資の勉強ができるという詐欺サイトを訪問。今年1月になって「2億5000万円を受け取る権利がある」というメールが届いたという。メールや無料通信アプリなどで犯人側とやり取りをしており、これまでに購入していた電子マネーも被害の一部だった。
後藤さんによると、後日、男性は来店し、「助かりました」と礼を述べたという。
一昨年9月にも、同店の店員が特殊詐欺を未然に防いだ。後藤さんは「数万円の電子マネーを買う女性など、たまに『おかしいな』と思うお客さんが来店することがある。今後も声掛けを続けていきたい」と話していた。