青垣シルバーコーラス指導者 宮本幸代さん(丹波市)

2021.02.14
たんばのひと

宮本幸代さん

杖ついて歌える合唱団

音楽指導に人生をささげ、結成16年目を迎える「青垣シルバーコーラス」で、今もはつらつと指揮棒を振る。18人の団の最年長。先頭を切って老いる自身の姿を見せている。

85歳以上が5人いる。「この人たちが中心。屋台骨を支えてもらっている」。杖をついて歌ったり、デマンドタクシーやタクシーを使って練習に参加したりする人もある。年齢が大きくなった、杖をついて迷惑かけるから団をやめよう、ではなく、「杖をついて来られて良いね」と、参加する、参加できる環境をつくることが団を存続させる力になるとみなで話し合った。

自身も含め、単身の高齢者が多い。気は若くとも、寄る年波をひしと感じる。いつまで1人暮らしを続けられるか、「風前の灯」の思いを抱えながらも、「高齢で1人で暮らしていくことは、自立していくこと。明日への希望、柱がないと、生きがい、張り合いがない。練習に参加する、『行く所がある』意味はとても大きい。仲間に会え、みんなで力を合わせてできることがあるのは幸せなこと」と意義を説く。新型コロナウイルス禍の中、感染防止対策をして練習を続けている。覚えては忘れ、思い出しては忘れ、1曲を仕上げるのに若い人の何倍もの時間がかかる。

3部合唱を仕上げ、今秋の「丹波合唱祭」の舞台を目指す。「杖をついて背筋を伸ばす。おどおどせず、自慢はせずとも、生きてきました、今も生きていますよのメッセージを届けたい。音楽は、ハーモニー、リズム、メロディーを追求するだけでない。生きる力をもらえるスケールが大きなもの。『上手やな』でなくていい。『元気やな』の拍手がほしい」。87歳。

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