摂社本殿が県重要文化財に 柏原八幡宮、中井一統彫刻も評価 「しっかり後世に伝えていく」

2021.03.17
地域歴史

県重要有形文化財に指定された柏原八幡宮の摂社「五社稲荷神社」=2021年3月9日午前10時40分、兵庫県丹波市柏原町柏原で

兵庫県教育委員会は、柏原八幡宮の摂社「五社稲荷神社」(同県丹波市柏原町柏原)の本殿を県重要有形文化財に指定した。同八幡宮禰宜の千種太陽さん(37)は、「大変ありがたいこと。維持していく上で励みになる」と喜び、「県の財産でもあるという大きな責任を背負った。これまで以上に防火対策や維持管理に力を入れ、しっかりと後世に伝えていかなくては」と気を引き締めている。

同八幡宮によると、五社稲荷神社は、同八幡宮創建の万寿元年(1024)に京都の伏見稲荷神社(現・伏見稲荷大社)の分霊を勧請し、五穀豊穣、生業守護の神としてまつったのを起源とする。

現在の本殿は、宝暦6年(1756)に柏原藩3代藩主・織田信旧候の寄進によって、多可郡比延庄塚口村新田(現・西脇市)の大工、飛田平蔵が建立した。

言次君音による脇障子

建物の構造は、桁行(正面)3間、梁間(側面)2間。屋根は入母屋造で千鳥破風が付き、向拝の張出部は隅木入向唐破風造となっている。もともと檜皮葺だったが、2012年に容易に檜皮葺に戻せる工法で銅板葺に改修した。

軒下や脇障子に施された龍や動物の彫刻は、中井権次一統の4代目、言次君音の作。

県文化財保護審議会は、「技術力の高い複雑な屋根や平面形式を持ち、豊富で立体的な装飾彫刻を施した丹波地域の近世神社本殿建築の特徴を示す重要な遺構」として、県教委に答申していた。

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