兵庫県丹波篠山市社会福祉協議会が実施している「ふれあい・いきいきサロン事業」の補助金交付について、同市監査委員が「市内の1自治会に不透明な支出をしている」と指摘し、同社協が調査に乗り出していることが分かった。サロンは本来、自治会内に置く運営委員会が運営するが、この自治会は外部の業者に委託したり、領収書の写しが適切に添付されていなかったりする点などを疑問視。事業実施当時の自治会長に対して今月24日までに領収書などの提出を求めており、対応によっては補助金の返還を求めることも視野に入れている。
同事業は、自治会内の65歳以上で、独り暮らしの人などを対象に、茶話会やレクリエーション、介護教室、世代間交流などを行う。申請のあった自治会などを指定し、年間10万2000円を2年間にわたって交付している。内訳は市が8万円、社協が2万2000円。継続的なサロン実施へのスタート補助が目的で、事業終了後は、自治会独自の予算で運営していくことを期待している。
監査委が指摘した自治会は、2015年度と16年度に交付を受け、サロンを開いている。運営委が設置されているにもかかわらず、16年度は昼食や茶菓子の購入、講師の手配など事業費の全てを外部の業者に支出しており、報告書には費用個別の領収書の写しがなく、業者による一括の請求書と領収書しかなかった。この業者の所在地は当時の自治会長宅になっており、自治会長の親族が代表になっているという。
社協は、「外部委託は当時の要綱では禁止されていなかったが、そもそも地域住民が福祉活動に参加し、地域のお年寄りと交流する事業。外部への委託は事業としてありえない。さらに業者が自治会長に関係があるのはより適切でない」とする。現在は外部への委託は禁止するよう要綱を改正している。
15年度は運営委が運営しているが、実績報告書の収支決算書に「講師謝礼」として3万円が支出されているものの、領収書の写しが添付されておらず、今年度になって「講師が受け取りを固辞した」という理由で謝礼を取り消す報告書が別途、提出された。しかし社協が講師に話を聞いたところ、もともと謝礼の話はなかったことが分かっている。
修正報告書は運営委メンバーではない住民が提出している。
さらに両年度とも、弁当の支出(1人1500円)があり、いずれも先述の業者が手配したことになっているが、社協が住民に聞き取りを行ったところ、「弁当は食べていない」という声もあったという。茶菓子についても一般的な価格より高い費用が掛かっているケースがあるなど、実際に提供されているものの中にも不透明なものがある。
監査委は、不十分な報告に補助金を支出した社協の甘さを指摘。調査を行っている社協は、「事業に対する認識が甘い部分があり、見逃してしまった。当時の自治会長にはきちんと説明していただき、場合によっては返還を求めたい」としている。
調査結果は市にも報告し、内容は公表される予定。