兵庫県丹波篠山市は65歳以上の高齢者約1万4000人に向けて、23日から始めるとしていた新型コロナウイルスワクチン接種のクーポン券の発送を、5月20日ごろに延期した。ワクチンの供給が定まっていない現状で発送しても医療機関の予約はできず、他自治体の状況も見ながら、「混乱を招く」と判断した。5月初旬に接種を始める施設に入所する高齢者には接種までに別途送付する。
発送を予定していたのは▽クーポン券▽予診票▽接種のお知らせ▽予防接種の説明書―。発送日を23日としていたのは厚労省の通知によるものだが、酒井隆明市長らは、「接種のお知らせ」に、ワクチン供給量の関係で現状ではクーポンがあったとしても医療機関での予約はできないことなどが明記されていないことを問題視した。
封筒は以前に封入を済ませていたもので、国のワクチン供給が遅れたため、予約ができないことなどを封筒の表面にゴム印で表示していたものの、酒井市長は、「多くの人がお知らせを見て医療機関に電話される可能性が高い。予約を巡って電話がつながらなかったり、窓口に人が殺到したりするなど混乱している他自治体の状況を見ると、今、この文書を送ると市民も医療機関も混乱する」とした。
新聞報道や市広報5月号などで23日以降のクーポン券発送を告知していたため急きょ、延期を知らせる文書を発送した。
同市の接種は、かかりつけの医療機関での個別接種が基本。接種できる医療機関は5月20日以降に配布される市広報6月号に掲載する。