兵庫県丹波篠山市を舞台に撮影され、2002年に公開された映画「森の学校」。昨年、30歳の若さで亡くなった俳優、歌手の三浦春馬さんが出演していたことからファンの声に応えて全国で再上映されるなど、三浦さんはもとより、約20年の時をへて映画も再評価されている。ロケ地を巡りたいというファンも多く、丹波篠山観光協会と市はロケ地を紹介するパンフレットを1万部作成。無料配布(1人1部限定)している。すでに3000部近く配布しており、観光協会は、「来られる方はみなさん、三浦さんへの思いを語られる。本当に愛された俳優さんだったということをひしひしと感じています」と話している。
「森の学校」は同市在住の霊長類学者で、京都大学名誉教授の河合雅雄さんの著書「少年動物誌」を原作に、昭和10年代の丹波篠山を舞台に描いた作品。市出身の映画監督、西垣吉春さんがメガホンを執った。子役だった三浦さんは“雅雄役”として出演し、人との触れ合いや豊かな自然の中で成長していく少年の姿を見事に演じた。
昨年末から再上映が始まると、映画を見たファンがロケ地を目当てに丹波篠山を訪れるようになった。観光協会にも問い合わせがあったが、撮影から20年近く経過していることもあり、すぐに応じることができなかったため、「訪れてくださる人の思いを無駄にしたくない」と、地元自治会や西垣監督の協力を得てロケ地を特定した。
出来上がったA4判6ページのパンフレットには、映画のシーンと共に計16カ所のロケ地を紹介。地図だけでなく、どういう場所か、またどのシーンに登場したかも掲載している。映画自体の価値や原作の世界観に浸ってほしいと、あえてパンフレットには出演俳優の名前は掲載していない。
レンタサイクルやバス、タクシー、ボランティアガイドの案内のほか、ロケ地を巡る3つのおすすめコースも用意している。
連日、パンフレットを受け取りに多くの人が訪れており、観光協会の公式SNSに投稿する何気ない丹波篠山の日常の写真への反応も増えている。
観光協会は、「三浦さんの影響はもとより、豊かな自然や暮らし、ありのままの日常をとらえた映画だからこそ、丹波篠山のふとした景色に反応があるのかもしれない。地元のみなさんにもロケ地になったことや話題の一つとして、改めて知ってほしい」とし、「西垣監督や地元自治会の協力があってできたもの。訪問される際には地元への配慮をお願いしたい」と話している。
郵送対応はしていないが、特産館ささやまのオンラインショップで、「森の学校ギフトセット」を購入した人にはセットと共に1部送付している。