「宝岩」を90年前の姿に―。兵庫県丹波市柏原町上小倉と下小倉にまたがる通称「獅子山」の巨岩「宝岩」を見えやすくしようと、同市の山中邦雄さん(73)らが、岩周辺の雑木を伐採した。「雄獅子が咆哮する姿に似ている」と、「獅子山」と名付けられた山で、宝岩は獅子の「顔」に当たる山のシンボル的存在。木々が茂って見えにくくなっていたが、下からも巨岩がよく見えるようになった。
宝岩は高さ約30メートル、幅約50メートル。
1989年に柏原ライオンズクラブが発行した「写真が語る柏原町誌」で、1931年(昭和6)ごろの獅子山周辺の写真を目にしたことがきっかけ。宝岩を含む3つの巨岩がはっきりと見えていた。
地元の公園運営管理委員会の一員として、山の整備や、公園内の滝の小川の補修などに関わってきた山中さん。「宝岩を90年前の姿に戻したい」という強い思いが湧き上がり、地権者らの了解を得て1月から伐採に着手。仕事が休みの日に週2回、これまでに24回ほど作業をしたという。
「植林された木には手を付けられない」と、スギ、ヒノキ、マツ以外を伐採。岩の側面に生えていた木も含め、「切った木は何本か分からない」ほど汗を流した。
徐々に岩がよく見えるようになってきたため、住民らからは「岩が崩れてきている」と勘違いして心配する人もあったとか。山中さんは「立派な岩なので、今はやりのロッククライミングの名所にしてもいいかも」とほほ笑んでいた。