あす25日から3度目となる緊急事態宣言が発令される。生活必需品売り場を除いた床面積が1000平方メートル以上のショッピングセンター(SC)が休業要請の対象になったことを受け、兵庫県丹波市の2つのSCの運営会社が24日、営業、休業の判断を各テナントに任せることを決めた。「生活必需品」の定義があいまいで、運営側で一方的に判断することができないとの結論に達した。「協力金とセットで、生活必需品の明確な基準を示してもらわないことには、こちらから入居者にどうこうしてとは言えない」と頭を抱えている。
大手の百貨店と異なり、地方のSCは、店子にナショナルチェーンと地元の商店が同居している。本部が休業、営業を決めるナショナルチェーンと異なり、個人商店は自社判断が迫られる。
売り場面積1万4000平方メートルで、44の店子が入居する市内最大のSC「ゆめタウン丹波」(同市氷上町、土井恵介社長)の運営会社「タンバンベルグ」は、閉店時間を1時間繰り上げるが、休業する、しないは、各店に任せた。
同社によると、昨年の最初の緊急事態宣言時は該当業種が示され、同SCの宝石店、フィットネスジム、ゲームセンターが休業した。今回は基準があいまいで、県に対象と協力金を聞こうと電話をかけるものの、土日のせいか、問い合わせが殺到しているからか、つながらないという。
同社の加納剛太取締役は、「人流を減らすという宣言の主旨は分かるが、生活必需品の定義があいまいなままでは、休業要請に応じづらい。定義と生活必需品でないとされた店への補償の両方を明らかにしてほしい」と訴える。
同社の土井社長は雑貨店を営む。昨年の緊急事態宣言時に、市外のSCに出していた雑貨店を休業した。SC全体が休業を決めたためだが、「休業要請の対象業種でない」と協力金は交付されず、「休み損」を経験した。
2人は、「緊急事態宣言が出ているのに『普段通り営業しているじゃないか』の風評が一番つらい。休業を求めるなら、安心して休業にできるようにすべきだ」と思いを吐き出した。
同市柏原町のSC「丹波の森ショッピングタウン」も状況は同じで、同様に店子に判断を委ねる。
休業要請に応じた場合、政府はテナントに1日2万円、SCに20万円協力金を支払うとしている。