兵庫県丹波市市島町鴨庄地区の岩戸、喜多地区を流れる岩戸川沿いの田んぼなどで大量発生し、水稲を食い荒らして生産者を悩ませている外来種「ジャンボタニシ」の駆除を本格化させようと、喜多自治会がこのほど、同自治会公民館で撲滅に向けた対策会議を開いた。専門家が推奨する駆除方法を実践するモデルほ場を設定、あらかじめ申し込みがあった7人14枚の田んぼで、米ぬかなどを餌におびき寄せて一網打尽にするといった対策を実践する。
同タニシの駆除経験があり、同自治会での対策に助言する県立人と自然の博物館の三橋弘宗研究員の協力を得て取り組む。
モデルとなるほ場は、畦から50センチほどを空けて稲を植えており、このスペースに、餌にする団子状にした米ぬかを5メートル間隔で投入。全周囲ではなく、水が抜けにくい一辺だけに入れ、集まってきたところを網のような捕獲器で取る。昨年、米ぬか団子をまいて効果を上げた生産者もいる。
ほ場の所有者は、週1回ほどの頻度で餌の投入を担当。三橋研究員や関西学院大学の学生が定期的に現地を訪れ、捕獲していく。どれだけの量が取れたかなどのデータを蓄積し、今後の駆除対策にも生かす。
タニシは冷凍庫に入れて死滅させる。不定期で、学生ら大人数による“捕獲作戦”も計画している。
鮮やかなピンク色をした卵塊の駆除として、三橋研究員は酢の成分が入った液体を吹きかけることを提案。まずは水路にいる個体で効果を確認することにした。わさび成分入りの液体も有効としたが、栽培に制約がある特別栽培米「さつき米」のほ場もあることから、実際の使用は今後の課題とした。
正式名称は「スクミリンゴガイ」で、成貝の殻高は約3―8センチ。5年以上前から同地区で見られるようになり、岩戸川の上流から下流に向かって次第に広がったという。田植え後の稚苗ほど被害に遭いやすく、中には食い荒らされた部分に2度目の苗植えを行った生産者もいる。
昨冬、三橋研究員からの助言で、冷え込みがきつい日に田をすき込み、寒風にさらすことで、土中で越冬するタニシを死滅させる耕転作業を行った生産者も。その効果もあってか、複数の生産者が「昨年よりは少ない」と証言しながらも、今年も少なくない厄介者の数に辟易している。
西山泰治会長(71)は、「去年はとにかくひどかった。一度に被害がなくなるというわけではないだろうが、少しでも数を減らしていきたい」と話している。