新型コロナウイルスの感染が広がる中、人の動きが活発になるゴールデンウイークに入った。阪神間など都市部から1時間ほどの距離にある兵庫県内陸部の丹波地域でも、毎日のように感染者を数える。丹波健康福祉事務所(保健所)の須藤章所長に、感染しないために注意することなどを聞いた。
―新型コロナウイルスの感染が広がっている
この1カ月ほどで広がっている変異株は、感染力が強く、比較的若い人でも重症化しているのが特徴。傾向として家庭内感染が多いが、感染経路が見えない。丹波地域では、ゴールデンウイークに田植えなどで帰省し、家族そろって会食する人も多いだろう。ただ、人と出会うだけ感染のリスクは高まる。
―気を付ける点は
コロナ禍になるまでは、われわれも「人は、人と人とのつながりや絆の中で健康になります」と言っていたのに、逆の状態になっている。矛盾しているが、高齢者は外出しないでいると、身体機能が衰える心配がある。近所での散歩や、十分な感染対策をした上でのグラウンドゴルフは問題ないと考えている。
最も気を付けたいのが、高齢者施設や医療機関にウイルスを持ち込まないこと。特に医療機関はいっぱいいっぱいの状態だ。そのために市民にできることは、家庭や職場で感染を広げないことだ。
家庭では、不要不急の外出や感染拡大地域への移動の自粛、大人数や長時間に及ぶ飲食をしない、小まめな手洗いや手指消毒、毎日の健康管理などに注意してほしい。職場においては、体調がすぐれないときは無理せず休んでほしい。丹波地域は中小企業が多く、休みにくい環境である場合が多いかもしれない。だが感染してしまうと、入院や2週間の外出自粛となり、結果的に労働力が減る。職場でも感染対策を工夫してほしい。
また基礎疾患がある人、高齢者は重症化しやすく、注意が必要だ。新型コロナは症状が急変する怖さがある。熱が出て、いったん下がり、もう一度熱が上がるような場合は、肺炎の可能性が高い。
―今後の感染状況についてどう見ているか
こればかりは分からない。少なくとも変異株が出るまでは、国は感染者のうちの8割は人にうつしていないと言っている。あとの2割を抑えれば、感染は広がらないといえる。ただ世界では国ごとに独自の変異株が出ている状況。今後もどこの国からどんな株が出るか、予断を許さない。今、判明しているものより感染力が強かったり、重症化したりする株が出る可能性もある。
とはいえ、感染を防ぐのに、これをすれば大丈夫というものはない。市民ができることは、マスク着用、消毒、3密回避など、感染症対策の基本をしっかりとすること。そこに尽きるのかなと思っている。