「2回目接種の後」がしんどいといわれる、ファイザー社製の新型コロナウイルスワクチンの副反応について、兵庫県立丹波医療センターの見坂恒明・地域医療教育センター長に、職員への先行接種結果を踏まえ話を聞いた。
―副反応は接種後、どれぐらいの時間で出るのか
筋肉注射は、接種後即、成分が体内に取り込まれるので反応はすぐ出る。接種後の健康観察時間が15分、30分と設定されているのはそのためだ。
―医療センターで、1456回接種した。厚生労働省の資料によると、軽いものを含め、何らかの副反応が出る人が6割以上あり、2回目で高い頻度で現れている。
当院の職員アンケート(回収率85%)によると、37・5度以上の発熱は、1回目が0・8%、2回目は20%。体がだるいと感じる倦怠感は1回目が4・9%、2回目が26・5%、頭痛は1回目が3・3%、2回目が11・7%と、いずれも2回目接種後が顕著だ。接種した所の痛みを訴えた職員も多かった。
体調不良は、打った日とその翌日でほとんど回復する。接種後3日目に熱が出た人もある。安静にするのが基本。現役世代は、可能なら打った次の日はあらかじめ仕事の休みを取るか、休日の前日に接種するようスケジュールを考えては。言われているように、若い人ほど反応が出やすい。20―40代が多い当院でもそうだった。私自身は、打った所が痛くなり、腕が使いづらかったが、翌日には治った。
――職員に重篤な副反応はあったか。
救急外来を受診したのは5人。のどのかゆみや39度の発熱の人もいたが、厚生労働省の集計でいう、アナフィラキシーショックに該当する人はいなかった。アナフィラキシーになったときに打つアドレナリン注射薬を用意していたが、血圧が下がり顔色が真っ青になったり、酸素の取り込みが減って、「ぜいぜい」とぜい鳴が出たりするような職員はおらず、1度も使わなかった。
――アナフィラキシーを恐れる必要はないのか。
100万接種あたり、ファイザー製のワクチンによる発生は11・1件と報告されている。アメリカのインフルエンザワクチンは1・4件で、インフルエンザワクチンと比べると8倍生じやすい。一方、肺炎球菌による肺炎や溶連菌の扁桃炎などの治療で一般的に使う抗菌薬ペニシリンは、対100万患者あたり、4590件の報告がある。普段、頻回に使う薬と比べると、発症率は桁違いに低い。
アナフィラキシーの怖さと、95%の重症化を防ぐワクチンの有効性を天秤にかけると、私は接種のメリットの方が大きいと考えるが、接種する、しないは、自己判断。アレルギー体質で心配な人は、かかりつけ医と相談し、納得がいく選択を。
――重篤な副反応でなくても、しんどいのはつらい。しんどくなったらどうすればいいか。
熱や頭痛が心配な人は、一般的に薬局で買える「アセトアミノフェン」成分が入った総合感冒薬を買っておき、しんどくなったら服用するといい。接種後、具合の悪さが長く続くようであれば、別の病気が隠れているかもしれないので、受診してほしい。
――ワクチン接種との因果関係は分かっていないが、帰宅後に、ひどく調子を崩したり、亡くなった方もあると報道があり、不安に感じる人がいる。帰宅後、すぐに救急受診した方が良い「危ないサイン」は。
のどのかゆみ、息苦しさ、顔が青い、冷や汗などを受診の目安にしてもらえれば。