昨年の「119番」過去最少に 最多は「新型インフル」の09年  感染症拡大の2年で真逆傾向なぜ?

2021.06.01
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丹波篠山市消防本部が着信した119番通報件数の推移グラフ(1998年~2020年)

兵庫県丹波篠山市消防本部が着信した昨年の119番通報件数は2597件で、過去23年間で最少だったことが同本部の調べで分かった。通報内容のうち、急病や発熱などの際、夜間に空いている病院などを問い合わせる「医療機関照会件数」は458件(前年比114件減)で、過去24年間で最少となっている。一方、最も119番通報件数が多かったのは新型インフルエンザが世界的に流行した2009年で、4927件(同845件増加)=グラフ参照。新型ウイルスによる感染症が広まった2つの年で、真逆の結果となっている。

昨年の119番通報件数は、前年の3020件から423件減少。2014―19年の6年間、通報件数は2900―3100件の間で推移していた。救急出動件数は1990件で、過去6年間で最少。救急搬送人員数は1899件で、過去8年間で最少だった。同本部は「コロナ禍で緊急事態宣言が発令され、人の行動自粛が長引いたことから救急出動や医療機関照会の件数が減った」とみている。

09年の医療機関照会は2416件(同567件増)で、過去24年間で最多だった。この年は新型インフルエンザの感染が拡大。日本国内の約2000万人が医療機関を受診した。119番通報と医療機関照会が急増したことについて、同本部の当時の年報によると、新型インフルエンザの流行による影響が大きかったとみられていた。

翌10年の119番通報件数は3282件(同1645件減)。医療機関照会件数は938件(同1478件減)。どちらも一気に減少しており、同本部は「前年に流行した新型インフルエンザが落ち着きをみせたことが大きいのでは」としている。

丹波篠山市医師会の小嶋敏誠副会長は09年に関し、「インフルエンザが例年並みに流行した。新型かどうか不安がある発熱患者からの119番通報が多くなったのかもしれない」と話す。

昨年に関しては「緊急事態宣言が出たり、社会全体でマスク着用などの感染予防対策が徹底されたりしたために、インフルエンザのほか、溶連菌、RSウイルス、胃腸炎など、新型コロナ以外の感染症が流行せず、医療機関照会件数が少なくなったのでは」と推察。また「かかりつけ医のほか、帰国者・接触者相談センターなど、コロナ感染疑いのある発熱患者専用の相談窓口があり、それが市民に周知されていたことも要因」とみている。

兵庫県感染症情報センターによると、昨年の県全体でのインフルエンザ感染者数は約2万4000人で、6万人を超えていた一昨年から半減している。溶連菌感染症、感染性胃腸炎の昨年の感染者数も一昨年と比較すると半数以下に。RSウイルス感染症の感染者数は10分の1程度になっているという。

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