23日早朝に登山客がクマに襲われた兵庫県丹波市の国史跡・黒井城址で同日、入山禁止措置が取られた。期間等は、今後、県と市で検討する。丹波市は同日、登山の際は音が出るものを必ず持参するよう啓発するプレートを設置した。
同日午前、県警の立ち入り禁止の規制線が張られた登山道の中で行われた現場確認で、被害男性の血痕は見つかったが、クマの痕跡は見つからなかった。
被害発生現場は、西ルートと東ルートの2本の登山道が合流する赤門から山頂に約50メートルの見晴らしの良い場所。
現場確認に訪れた野生動物の生態に詳しい、県森林動物研究センターの廣瀬泰徳業務副部長は、「目撃情報から若いオスと推察される。今の時期、発情したオスがメスを求め、広く行動する。社会経験が少ないオスが登山客と偶然でくわし、お互いパニックになったのでは」と話し、「早朝が危ない。複数人で会話しながら登山するか、クマ除けの鈴を必ず携帯を」と注意を促した。
1年ほど前からクマ出没注意のプレートを掲示し、注意喚起してきた地元の藤本修作同市黒井地区自治協議会長は、「掲示しているのに、気にされていないようで、鈴を持たない人も多い。広域で観光客が来られる場所なので、安全対策をし、早く入山を再開してほしい」と話していた。
同城址は、NHK大河ドラマ「麒麟が来る」でも紹介され、明智光秀を苦しめた戦国武将・赤井直正の居城。山頂まで30分ほどのハイキングコースが観光客にも人気を集めている。