県が鶏舎撤去求める 農地法違反などで是正勧告 許可得ずに建設、農地性損なう

2021.06.21
地域

県の是正勧告を受け、記者会見する住民ら=2021年6月15日午後2時28分、兵庫県丹波篠山市北新町で

兵庫県は、同県丹波篠山市内の1養鶏事業者が建設した鶏舎が農地法違反などに当たるとして11日付で是正勧告を行い、来年12月までに原状回復のため鶏舎を撤去することを求めたことが分かった。勧告に応じない場合は命令に切り替え、それでも撤去されない場合、制度上は刑事告発するか、行政代執行で撤去することになる。

市によると、事業者は2016、17年ごろから桑原地域内で許可を得ずに鶏舎10棟を建設。コンクリートが打設されるなど農地性が損なわれているという。また、現場は農業振興地域の整備に関する法律(農振法)で農用地に指定されているため、同法違反にもあたる。

違反を認識した市農業委員会は昨年10月、事業者に是正勧告。対応がなかったため、11月に県へ報告していた。

農地法違反は3年以下の懲役または300万円以下の罰金。農振法違反は1年以下の懲役または50万円以下の罰金で処罰される可能性がある。

事業者と住民の間では臭気や騒音を巡ってトラブルが起きている。市は、市環境保全条例で定める指定家畜飼養施設の設置届を提出していないことや、施設と近隣住家との距離規制基準違反、市の調査で悪臭防止法で定める基準を超えるアンモニアが計量されたことから、それぞれ改善勧告や命令を行ったにもかかわらず従わなかったとして、今年1月28日付で氏名を公表している。

酒井隆明市長は、「やっと勧告していただき、一歩前進と思っている。県には地域に寄り添って毅然たる態度で臨んでほしい。事業者がきちんとしてもらえることを強く期待している」とした。

勧告を受け、地元自治会や鶏舎の近隣住民らは記者会見を開き、「真摯に受け止め、一刻も早い撤去を」と語った。

住民代理人の筧宗憲弁護士は、「県が違反と認めた以上、犯罪として成立している。行政権限で強制的な撤去となるか、自主的に移転されるか分からないが、一日も早い解決を望む」とした。

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