兵庫県丹波篠山市山内町で7月24日に発生した大規模火災を受け、市民や企業、地域の店舗から支援物資や義援金などが数多く寄せられ、地域の支え合いが広がっている。支援物資は多くが必要数に達しており、市は物資の配布を始めた。義援金は7月30日時点で、702万円が寄せられた。「少しでも力になりたい」「一日も早く落ち着いた生活を取り戻してほしい」―。さまざまな思いが込められた支援の輪が被災した人々の生活再建を後押しする。
同市二階町の鳥焼肉「ツバメ食堂」の大地友代さん(42)は、火災2日後から、被災した人のためにと無償で夕食の弁当を作っている。8月末まで続ける予定で、「身近で起きた火災。自分にできることをしようと思ったのがきっかけ」と話す。
火災の当日、立ち昇る火災の煙を店から見た。そして、思った。「みんな、晩御飯どうされるのだろう」―。
ただ、被災した人々のところまで持ち込む勇気が出ず、徹夜の作業となった一部の消防団員におにぎりを配ることしかできなかった。心に引っ掛かりを感じていたところ、市役所で被災者への支援の会議が開かれていることを知り、勢いで無償弁当の提供を申し出た。
当日から注文が入っており、同じものばかりにならないようにとメニューを工夫しながら弁当を提供し続けている。大地さんは、「とにかく食べないといけないし、飲食店の営業許可を持っている自分にできることはこれくらい。被災した人の気持ちは想像もできない。とにかく一日も早く落ち着いて眠れるところで生活できるようにと思います」と祈りを込めて弁当を作っている。