けがや病気などで髪を失った子どもに、医療用ウイッグを無償提供する「ヘアドネーション」に協力しようと、兵庫県丹波市氷上町の岡本健さん(44)と伊稀さん(東小学校5年)父娘がこのほど、数年間伸ばした髪を寄付した。トリートメントやドライヤーなどでケアに気を配って伸ばした髪を切り、共に40センチ以上を寄付した。2人は、「人の役に立てるのならうれしい」とほほ笑んでいる。
伊稀さんは2年時、母の加奈子さん(44)からヘアドネーションを教えてもらい、髪を伸ばし始めた。ひたむきに髪をケアする子の姿を見て、岡本さんも共にチャレンジしようと決意した。
伊稀さんの髪は腰より長くなり、三つ編みにすることで髪がもつれにくくする工夫をした。岡本さんは、耳周りと襟足は自分で刈り上げる“ちょんまげ”スタイルで過ごした。
ケアはシャンプー、トリートメントをした後、より保湿効果の高い別のトリートメントをした上で、くしで髪をときながらドライヤーで20分ほどかけて乾かした。
ヘアドネーション事業に取り組むNPO法人「JHD&C(ジャーダック)」(大阪市)が規定する「31センチ以上」になったため、このほど市内の美容室でカットした。
伊稀さんは「髪を傷めないように気をつけた。短くなってすっきりしたし、自分の髪が誰かの役に立つと思うとうれしい」と笑顔。岡本さんは「よく伸ばしたなあという思い。人の役に立てるのと、娘と挑戦した良い思い出になった」と話している。