兵庫県丹波篠山市西町にあり、地ビールが味わえる酒場「西町BUR(ブル)」で8―14日の期間限定で、19歳の学生2人がカフェとギャラリーのチャレンジショップを開いている。各日正午―午後4時。出店に込める思いは、「救済」と「自由」で、「新型コロナ禍の影響でいろんな楽しみがなくなっている。若い人たちは大切な学生時代の思い出づくりができていない。少しでも楽しんでもらい、『あの夏は楽しかったな』と思ってもらえたら」と口をそろえ、「自分たちのためでもあり、出店のことしか考えられないくらい楽しみ。ぜひ、足を運んでみて」と来場を呼び掛けている。
同市の大学生、前川天音さんと、同県丹波市出身の専門学校生、大槻美優さん。
菓子などを作るのが大好きな前川さんは、いずれもテークアウトで、パウンドケーキ(プレーン、マーブル、抹茶×ホワイトチョコレート、キャラメル×くるみ)を各400円で、アイスコーヒーやレモネードなどを350―400円で販売する。
絵を描くことが趣味の大槻さんは、クレパスやアクリル、水彩、油彩などの作品で店を飾り、ポストカードを販売する。日常生活の中で心が震えた瞬間を絵にしており、その時々の思いがたっぷり詰まっている。同市の柏原高校ギター部出身で、弾き語りをする時間もある。
昨年、高校の先輩が同店でチャレンジショップを開いたことを知った前川さん。「自分もやってみたい」という思いに火がつき、共通の知人を介して知り合った大槻さんに声を掛けた。
コロナ禍の影響は学生にも影を落としており、共にオンラインでの授業など、これまで「普通」だった生活を送れていない。友だちと計画していた旅行も行けなかった。「同年代はみんな同じ思いをしているはず」と考え、挑戦することにした。
前川さんは、「お店のことを考える時間が楽しくて仕方がない。自分がおいしいと思うものを食べてほしいので、レシピ通りには作りません」とにっこり。大槻さんは、「自分の心からあふれてきたものを表現した絵で、自分のために描いたもの。でも、『癒やされた』と言ってくれる人もいる。自由に見てもらって、何かに作用すればうれしい」と話している。