兵庫県丹波篠山市出身で、今年5月に97歳で亡くなった世界的霊長類学者、河合雅雄さんの著書「少年動物誌」が原作で、俳優の故・三浦春馬さんが少年時代の雅雄さんを演じた映画「森の学校」の特別上映会が17―19の3日間、同市にある田園交響ホールで開かれた。丹波篠山観光協会の主催。各日3回上映。同市民のほか、全国から来場があり、3日間で約1357人が鑑賞した。
2002年に同市出身の映画監督、西垣吉春さん(74)によって制作された。昭和初期の丹波篠山を舞台に、城下町や里山の豊かな自然の中、生き物と触れ合いながら、たくましく育つ雅雄少年の姿を描いている。市内各地でロケが行われ、主演の神崎愛さんと篠田三郎さんと共に、当時12歳の三浦さんが出演している。
昨年7月に亡くなった三浦さんをしのぶファンの後押しで、全国で再上映したところ反響を呼び、ロケ地巡礼が行われたり、同協会などへの問い合わせが相次いだりしている。「映画の舞台となった丹波篠山でも、ぜひ再上映を」との多方面からの声に応える形で実現した。
毎上映、西垣監督が舞台あいさつを行い、18、19日には、子役として出演していた小谷力さん(31歳、ミト役)と小峰玲奈さん(32歳、ヒロインの美代子役)が登場し、撮影秘話や三浦さんとの思い出を語った。
18日の舞台あいさつで西垣監督は、「20年前の旧作がこんなに大ヒットするのは大変なこと。映画界がびっくりしている。本当はきょう、河合先生と一緒に見ることになっていた。でも残念ながらかなわなかった」と涙ぐみ、スクリーンに大きく映し出された雅雄さんの写真に向かって「先生、ありがとうございました」と頭を下げた。
また同日、雅雄さんの妻・良子さん(91)、弟の迪雄さん(95)と妻の芳子さん(91)を招待。良子さんは「雅雄は、こんな熱狂的な上映会をしてもらうなんて夢にも思っていない。きっと喜び勇んで十万億土(極楽浄土)への旅路を急いでいることでしょう」と来場者に感謝を伝えた。
同観光協会の堀成志会長(57)は、「全国各地から丹波篠山に足を運んでいただき、またとないPRの機会となった」と喜んでいた。
ロビーでは雅雄さんの献花台が設けられたほか、市内4店舗が、日本酒や黒豆、茶など特産品を詰め合わせたオリジナルギフトボックス「森の学校」を販売するなどしてにぎわいを見せていた。