兵庫県丹波市内に暮らす外国人と地域が交流を深める機会をつくろうと、同市の男女3人が「たんば・ベトナム交流促進委員会」を組織し、ダンスやミュージックバンドを通じて地域と触れ合う取り組みを始める。活動の手始めとして、市内在住の20―30歳代のベトナム人5人による、母国の踊りを紹介するダンスユニットを結成。5人は、「文化交流になれば」と、地域の施設などで民族衣装「アオザイ」をまとって披露できる日を心待ちにしながら、練習やPR活動に励んでいる。
5人はこのほど、同委員会のメンバーと共に、市内の公園でPR用の動画撮影に臨んだ。この日のためにユーチューブの踊りの動画を参考に自主練習を重ねてきた。
アオザイ姿の5人は、「ノンラー」と呼ぶ、葉で編んだ円すい形の帽子を手に、ベトナム中部の古都フエを歌った楽曲「NANG THO XU HUE(ナン トオ ス フエ)」に乗せ、カメラの前でゆったりとしなやかに舞い踊った。メンバーの女性(32)は、「みなさんもきれいなアオザイを着て、私たちと一緒に踊りませんか」と呼び掛けている。
撮影した動画は、同市のFMラジオ「805たんば」のホームページ内に用意した動画共有サイト「ユーチューブ」から閲覧できる。
市によると、国の技能実習制度で来日し、市内に暮らしている外国人は322人。うちベトナム人が157人と最多(7月末時点)。同委員会によると、その大半は企業が用意した寮で生活しており、地元との交流が少なく、コロナ禍も重なり、ますます触れ合う機会のない状況にあるという。
同委員会で企画担当を務め、805たんばのパーソナリティの男性(72)が、「実習期間は大半が数年。遠い国から丹波にやって来て、地域との関わりのないまま帰国してしまうのはあまりに寂しい。『丹波は良いところでした』という思い出があれば、帰国後も親しい交流が続くのでは。仲良くすれば楽しいことがたくさん生まれるはず」と声を上げた。
医療、高齢者施設の訪問を計画。アオザイに身を包み、母国の踊りを披露する。オンラインも積極的に活用していく。
またコロナが収束すれば、地域と外国人の混合でヒップホップダンスやミュージックバンド、合唱などのグループをつくり、それらの活動を通じて交流を深め、盛り上がりを見せていきたいと考えている。
「丹波市とベトナムは農林業の産業形態が似ている。つながりが深まれば先々、互いの長所やノウハウを生かすことで、文化交流にとどまらず、経済交流にも進展していくのでは」とも期待している。