105歳の”現役学生” ラジオで40年学び続け 秘訣は「自分への責任感」

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兵庫県丹波篠山市内最高齢の105歳で、40年間にわたり「ひょうごラジオカレッジ」で学び続ける小林さん=2021年9月16日兵庫県丹波篠山市内で

105歳で、兵庫県丹波篠山市内最高齢女性の小林ふみ子さんは、ラジオを通して学ぶ兵庫県高齢者放送大学「ひょうごラジオカレッジ」の”現役学生”。今年で在学40年を迎え、在学生最高齢かつ最長記録となった。今も月に2回の講義を聞いては学び、はがきで感想文を送り続けている。「知らない間に40年もたっていました。いろんな勉強ができて楽しい」と言い、長く続けるこつは、「やると決めたらやり続けるという自分への責任感だけですかねぇ」と朗らかに笑った。100歳を超えて学び続ける姿は、「生涯学習」という言葉を体現している。20日は「敬老の日」―。

第1次世界大戦のさなかで、芥川龍之介が「羅生門」を発表した大正4年(1915)に生を受けた小林さん。18歳で嫁ぎ、2人の子どもにも恵まれ、幸せな家庭を築き始めた頃、夫が戦地に赴き、遺骨となって帰ってきた。その後はひたすら農業に精を出し、子どもたちの助けも借りながら、激動の時代を生き抜いてきた。

ラジオカレッジを受講し始めたのは先輩の誘いがきっかけ。ラジオの前でさまざまなことを学び、自分なりの感想を送り続けている。「字がうまく書けなくなって困っている。先生には『こんな文章を書いて』と思われているかもしれないけれど」と苦笑する。

ラジオカレッジでは、初年度の本科生を終え、2年目からの生涯聴講生になると、5年ごとに祝う賛辞表彰が贈られる。小林さんは今年、前人未到の40年賛辞を受けた。

近年は足が弱り、週3回、デイサービスに通う。自宅ではベッドの上で過ごすことが増えたが、学校帰りに立ち寄ってくれるひ孫に、お駄賃代わりのおやつを渡し、はがきを投函してもらうなど、家族の支えも受けながら学び続けている。

その姿勢にはラジオカレッジ関係者も目を丸くする。市内の学友でつくる友の会の小山迪夫会長(85)は、「小林さんはまじめな方で向学心に燃えておられ、何が何でも最後まで頑張るという意志の強さを持たれている。尊敬しています」と感嘆。カレッジ事務局も、「人生100年時代と言われる世の中で、生涯学び続ける小林さんの姿は手本であり、目標。学生にとって大きな励みになっている。後に続く人がどんどん出てほしい」と期待する。

若い頃は婦人会や民生委員活動に長く携わり、女性の生活改善や地域の一人暮らしの高齢者への訪問など、地域のためになる活動に汗を流した。長寿の秘訣を問うと、「自分なりに社会のために尽くしてきたという思いが、心の支えになっていると思います」とほほ笑む。

一方で長年、趣味にしてきた短歌はなかなか詠めていない。「最近は歌が思い浮かばず、『歌を忘れたカナリア』。それと、とにかく足が駄目で草引きもできない。本当に情けないし、娘にも申し訳ない気持ちでいっぱい」と目に涙を浮かべる。ただ、「今の目標はまた歩けるようになることです」と前を向く。

新聞に目を通すのが日課。105歳の目には昨今の日本はどう映っているのか。「総理大臣が誰になるか、そんな話題ばかりだけれど、コロナで大変なことになっている。早く収まってくれたら」

次代を担う若者たちには、「とにかく仲良く暮らすことが大事。それだけです」と優しいまなざしを向けている。

◆ひょうごラジオカレッジ 1977年から公益財団法人・兵庫県生きがい創造協会が開講しているもので、ラジオ関西の協力を得て毎週土曜日の午前7時から、学識者や著名人によるさまざまな番組を放送している。学校教育法に基づく大学ではないものの、県と地元ラジオがタイアップして展開されている全国唯一の高齢者放送大学。 対象は県内在住の50歳以上。毎月届くテキストをもとにラジオを聞き、はがきなどで感想文を提出する。毎年、感想文が既定の回数を超えた人には賞が贈られる。スクーリング(対面授業)や研修旅行、修了証書授与式などもあり、家にいながら、また時には外で、学びと学友同士の親睦を深めている。現在、県内約1600人が在籍している。

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