衆議院解散に伴う総選挙が19日、公示された。兵庫・丹波地域(丹波市、丹波篠山市)を含む兵庫5区からは予想されたとおり、日本維新の会・新人の遠藤良太氏(36)、立憲民主党・元職の梶原康弘氏(65)、自民党・前職の谷公一氏(69)の3氏が立候補した(届け出順)。それぞれ有権者に向けた第一声を放ち、31日の投開票へ三つどもえの戦いをスタートさせた。今回はコロナ禍の中での初めての本格的な国政選挙。コロナ対策や経済対策などにも注目が集まる見通し。
・遠藤良太候補(日本維新の会)
日本維新の会衆議院兵庫県第5選挙区支部長、ロングライフグローバルコンサルタント社長。追手門学院大卒。三田市中央町。36歳。
遠藤氏はJR三田駅前で第一声。「7月の知事選で新しい風が吹いた。これが兵庫県の大きな流れ。昔の古い体質を壊してほしい、新しい未来をつくってほしいとの思いがある。兵庫5区は45年近く、今の候補者、世襲議員がこの地盤で政治を行っている。利権や一部の特定団体、地域に流れている税金を中立公平に分配しなければならない」と批判。「しっかり改革するには、世代交代しかない。私は36歳。世代交代を実現できる。若い人、未来に託す政策をしていきたい」と訴えた。
「自民、立憲は、いろんなところに忖度し、お伺いを立てて政治をし、そこに税金を流していかなくてはいけない。日本維新の会は政治献金を受け取っていないし、大きな支持組織に属しておらず、忖度もしない。市民の声を聞き、政治をしてきた」と述べた。
教育無償化、給食費と18歳までの医療費の無償化を全国で実現するとし、子育て世代の支援を厚くすることが必要だと強調。また、過疎地域で整備すべきインフラは、道路や橋ではなく、インターネットなどの情報インフラだとし「コロナで働き方が変わった。ワーケーションなどを整備していけば人も呼べる。そこに投資し、人材育成をしっかりしないといけない。今の政治ではできないし、そのことが理解できない」と述べ、「新しい人材を育て、子育て環境を整えていく。それができるのが、日本維新の世代交代」と訴えた。
◇趣味は家族でキャンプ。座右の銘は「夢があれば人生は輝く」。愛読書は聖書。日課は筋トレ。母親に片麻痺の障がいがあり、障がい者を身近に感じ育った。
・梶原康弘候補(立憲民主)
立憲民主党県連副代表、テクノワーク社長(農林水産大臣政務官、丹波雇用開発協会会長、参院議員秘書)早稲田大卒。丹波篠山市西岡屋。当選2回。65歳。
地元の丹波篠山市で出陣式に臨んだ梶原氏は、支持者を前に「選挙のたびにふがいない結果で、ご支援をいただきながら情けない思いを繰り返してきた」と陳謝しつつ、「最後のチャンスをいただいたと思う。必ず勝ち抜いて地域のため、日本のために頑張っていきたい」と気炎を吐いた。
現政権については、「安倍、菅と続いた強権的な政治の間に格差が広がった。また、コロナ禍で『政治がなぜこんなに機能しないのか』と思われた方も多い」と批判し、「何としても政権交代したい」と訴えた。
コロナ対策では、「病床の確保やPCR検査の充実、生活苦や経営難にある事業者にしっかりと支援をしていく」とし、「消費税の時限的減税で家計にゆとりができれば、消費が拡大し、生産活動も活発になって雇用も生まれる。そういう『良い循環』をつくる」とした。
また、「民主党政権時に農家の戸別所得補償制度を実現した」と実績をアピール。「今年のコメの価格では農家は生きていけない。農家をしっかり支えたい」とした。
最も力を込めたのは郷里への思い。「どんどん人口は減り、耕作放棄地も出てきた。この素晴らしい故郷をもっともっと元気な地域にしたい」と熱弁をふるった。
◇座右の銘は、真心を持って誠意を尽くせば思いが天に通じるという意味の「至誠通天」。尊敬する政治家は、「粛軍演説」を行った斎藤隆夫。趣味は映画鑑賞で、お気に入りは黒澤明監督作品や「男はつらいよ」シリーズなど。コロナ禍での楽しみは、自宅で阪神タイガースの中継を見ながら一杯やること。
谷公一候補(自民)
党団体総局長、党過疎対策特別委員会委員長、全国内水面漁業協同組合連合会代表理事会長、県治山林道協会長(復興副大臣、国土交通大臣政務官、衆議院国土交通委員長)明治大卒。美方郡香美町村岡区。当選6回。69歳。
谷氏は三田市で第一声を上げた後、丹波篠山市、丹波市に入った。柏原の事務所の駐車場で開いた出陣式では、「選挙戦の争点は、何より新型コロナウイルスの収束と経済の立て直しで、これが直近の課題だ。傷ついた経済、生業を立て直す」と力説した。
自身が掲げる重点施策の一つ「人口減少対策と東京一極集中の打破」に触れ、「これらは静かな危機と言われ、もちろんしっかり取り組むが、今一つ成果が出ていないとうことも事実」とし、抜本的な対策が必要と主張。「東京など大都市に人が流れることをそのままにしていたら、少子化の問題は解決しない。人口減少を緩和し、逆に増やすような施策は、子どもや子育て世帯への支援と合わせて、地方をもっと元気にする施策とセットで行わなければならない」と持論を展開した。
5区の情勢についても言及。「日本維新の会の若い候補者も出馬しており、勢いを増している。選挙はどうひっくり返るか分からない」と危機感を示す一方で、「地に足を付け、地域の苦しみや思いをつかみ、その声を国政に代弁する代議士が必要。逃げずに愚直に頑張りたい」と力を込めた。
自身の政治信条を「おごらず、ひるまず、へこたれず」と披露。「謙虚に話を聞き、困難でも前に進む。大きな気概で、気迫では誰にも負けない」と述べた。
◇座右の銘は「一張一弛」。ストレス解消法は、しっかり食べ、おいしくお酒を飲み、よく眠ること。好きな歌は美空ひばりの「みだれ髪」で、カラオケでも十八番。最近うれしかったことは、9月、丹波市の後援会に女性部が発足したこと。